大分県議会 > 2022-12-05 >
12月05日-02号

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  1. 大分県議会 2022-12-05
    12月05日-02号


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    令和 4年 第4回定例会(12月)     令和4年第4回大分県議会定例会会議録(第2号)令和4年12月5日(月曜日)  -------------------------------議事日程第2号            令和4年12月5日              午前10時開議第1 第117号議案   (議題、提出者の説明)第2 第84号議案から第98号議案まで   (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)第3 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 第117号議案     (議題、提出者の説明)日程第2 第84号議案から第98号議案まで     (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)日程第3 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        御手洗吉生  副議長       古手川正治            志村 学            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            麻生栄作            三浦正臣            嶋 幸一            元吉俊博            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 1名            高橋 肇  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       吉田一生  教育長       岡本天津男  代表監査委員    長谷尾雅通  総務部長      若林 拓  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      磯田 健  病院局長      井上敏郎  警察本部長     種田英明  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    高橋 強  商工観光労働部長  利光秀方  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            廣末 隆  防災局長      岡本文雄  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 後藤 豊  労働委員会事務局長 田邉隆司  -------------------------------     午前10時 開議 ○御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  -------------------------------御手洗吉生議長 本日の議事は、議事日程第2号により行います。  ------------------------------- △日程第1 第117号議案(議題、提出者の説明) ○御手洗吉生議長 日程第1、第117号議案を議題とします。  -------------------------------第117号議案 令和4年度大分県一般会計補正予算(第4号)  -------------------------------御手洗吉生議長 提出者の説明を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま追加提案した第117号議案令和4年度大分県一般会計補正予算(第4号)について説明します。 本議案は、国の総合経済対策に呼応した諸施策を措置するものです。補正額は400億2,107万2千円であり、これに既決予算額を合わせると7,747億1,711万円となります。 以下、主なものを説明します。 はじめに、エネルギーや食料品などの価格高騰に見舞われている生活者、事業者への支援です。ウィズコロナの下、社会経済活動の正常化が徐々に進みつつある中、物価高で消費や事業活動が抑制され、持ち直しを見せている景気が腰折れしないためにも、十分な対策を講じなければなりません。 そこで、今回、県全体としては3度目となるプレミアム商品券を発行することとし、もう一段の消費喚起を図ります。市町村による上乗せ分を含め、プレミアム率は30%、発行額は130億円程度を予定しています。 また、事業回復期にある中、中小企業などの資金繰りを応援すべく、いわゆるゼロゼロ融資の借換え等に対応可能な融資限度額1億円の県制度資金を創設します。 高止まりするエネルギー価格が、家計や事業者の経営を圧迫しています。そこで、太陽光発電や蓄電池などの整備に対する補助事業を拡充し、家庭や中小企業・小規模事業者、社会福祉施設等におけるエコエネルギーへの転換を促進します。 農林水産業に関しても、施設園芸農家などに対して省エネ型電照機器等の導入費用を助成します。土地改良区が管理する揚水機場など、基幹的な農業水利施設の省エネ化に向けては、まずは様々なソフト、ハード対策に関する費用対効果の調査と、それを踏まえた省エネ化計画の策定を支援します。 肥料価格の高騰も続いており、その影響を緩和するには畜産堆肥の活用が効果的です。これを促進しようと、本年9月、JAグループを主軸とした耕畜連携マッチングチームが動き出しました。この枠組みの下、耕種・畜産農家間での資源循環の輪が大きく広がるよう、堆肥導入にあたっての圃場診断や堆肥の散布経費などに対する助成額を拡大します。 地域の稼ぐ力も強化していきます。そのためには、やはり裾野の広い観光業を復活軌道へと乗せていかなければなりません。お陰様で現在、県内の日本人宿泊者数は、コロナ禍前と同水準にまで回復しています。これを確かなものにしようと、今月27日までを期限に、新しい大分旅割第2弾を実施中ですが、割引率等を見直した上で、年明け以降も続けて展開すべく、その原資を約35億円分追加で措置します。さらに、こうした全国旅行支援の終了後も、特にオフシーズンの観光需要を底上げするため、県独自の旅行支援も実施することとし、その準備に着手します。また、令和6年春のデスティネーションキャンペーンに向け、おんせんおおいたWi-Fiの高速大容量化や公衆トイレ等の環境改善に対し助成するほか、観光案内標識などの改修を行います。 インバウンドは、この10月、県内の外国人宿泊者数がコロナ禍以降、初めて1万人を超えました。待ち望まれるインバウンド回復の兆しがようやく見えてきたところであり、その動きに弾みを付けていかなければなりません。このため、韓国や東南アジア、欧州等に設置している戦略パートナーとも連携を密に、現地での誘客対策はもちろん、外国人観光客を引き付ける竹細工や臼杵の食文化、耶馬溪等でのサイクリングといった体験型コンテンツなどを盛り込んだ高付加価値な旅行商品の造成、セールスを実施します。この先、令和7年には、大阪・関西万博が開催されます。海外からも多くの来場者が見込まれており、大型化、快適化されるフェリーさんふらわあなどを関西方面からの移動手段として活用してもらいながら、ぜひとも訪日客をおんせん県おおいたに引き込んでいきたいところです。 相次ぐ災害に屈しない県土づくりも着実に前進させなければなりません。そこで、国土強靱化5か年加速化対策等に関連する公共事業費約300億円を追加で措置します。これにより、大分臨海コンビナートの護岸改良や西国東干拓地域の地盤改良などの進捗率を上げていきます。 また、盛土災害の発生を防ぐため、盛土規制法に基づく規制区域の指定に向けた基礎調査を開始します。なお、政府に対しては、この国土強靱化5か年加速化対策が終了した後も、中長期的な見通しの下、引き続き必要十分な予算を安定的に確保するよう、既に要請しています。 災害対策の関係では、本年9月の台風第14号に際して、赤潮の影響による被害にも見舞われたブリ類養殖業者の事業回復を支援するため、今期出荷予定であった養殖魚の死亡に伴う減収の一部を補填します。あわせて、今後の出荷量確保に資する中間魚の導入なども応援すべく、現在、無利子の緊急融資を発動しています。 安全・安心の観点から今忘れてならないのは、幼稚園等に通う子どもの安全管理です。静岡県牧之原市で起こったような送迎用バスでの置き去り死亡事故を繰り返してはなりません。このため、各施設には、降車時の車内確認などを盛り込んだマニュアルの作成とその実行を個別に指導しています。加えて、今回、送迎用バスへの安全装置の導入に対する財政支援を講じ、幼稚園、保育所や放課後児童クラブ、私立小学校などに早期の対応を求めていきます。 なお、特別支援学校のスクールバスについても、同様に安全装置を急ぎ整備します。 子ども・子育て関係では、ほかにも妊娠時から出産、子育て期まで一貫した伴走型の相談対応にあわせ、妊娠届のときに5万円、出生届の際には新生児一人当たり5万円相当の経済的支援を行います。 以上をもって提出した議案の説明を終わります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同いただくようお願いします。 ○御手洗吉生議長 以上で提出者の説明は終わりました。  ------------------------------- △日程第2 第84号議案から第98号議案まで(議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決) ○御手洗吉生議長 日程第2、第84号議案から第98号議案までの各決算議案を一括議題とし、これより委員長の報告を求めます。決算特別委員長河野成司君。  〔河野議員登壇〕 ◆河野成司決算特別委員長 決算特別委員会の審査の経過と結果について御報告します。 本委員会で審査した案件は、第3回定例会で付託を受けた第84号議案令和3年度大分県病院事業会計決算の認定について、第85号議案令和3年度大分県電気事業会計利益の処分及び決算の認定について、第86号議案令和3年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、第87号議案令和3年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について及び第88号議案から第98号議案までの令和3年度各特別会計歳入歳出決算の認定についての議案15件です。 委員会は、9月16日から11月8日までの間に8回開催し、会計管理者及び監査委員ほか関係者の出席、説明を求め、予算の執行が適正かつ効果的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果がもたらされたかなどについて、慎重に審査しました。 その結果、各般の事務事業等は、議決の趣旨に沿って、おおむね適正な執行が行われており、総じて順調な成果を収めているものとの結論に至り、第84号議案、第88号議案から第91号議案まで、第93号議案から第95号議案まで及び第98号議案については全会一致をもって、第87号議案、第92号議案、第96号議案及び第97号議案については賛成多数をもって認定すべきものと決定しました。 また、第85号議案については全会一致をもって、第86号議案については賛成多数をもって可決及び認定すべきものと決定しました。 なお、決算審査の結果、お手元に配布の決算特別委員会審査報告書のとおり、改善、あるいは検討を求める事項について取りまとめたところです。 その全ての朗読は省略しますが、いくつかの項目について申し述べます。 まず、財政運営の健全化についてです。 令和3年度普通会計決算においては、経常収支比率の大幅な改善や、財政調整用基金残高の回復などが見られますが、近年の相次ぐ大規模災害や、エネルギーを始めとする原材料価格の高騰など、財政環境は予断を許さない状況であるため、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドや、さらなる行財政改革の推進により、より一層の行財政運営の効率化、健全化に尽力していただきたいと思います。 次に、収入未済の解消についてです。 県税における徴収強化や早期の滞納整理の実施のほか、各機関の努力により、収入未済額は前年度に比べ減少していますが、収入未済額全体としては依然として多額であることから、今後も引き続き、収入未済の解消と、新たな発生防止に努めていただきたいと思います。 次に、個別事項について、次の10項目を挙げています。 ①行政手続の電子化及び文書の電子化推進と県民の利便性について、②在来線の維持確保と東九州新幹線について、③子ども子育て支援の充実について、④介護人材の確保について、⑤災害対応における高機能共同指令センターの活用について、⑥公益社団法人ツーリズムおおいたへの委託事業ついて、⑦県産品EC販売拡大について、⑧農業システム再生に向けた行動宣言及び農業を巡る情勢変化への対応について、⑨住宅政策について、⑩学校部活動改革サポート事業について、当委員会でまとめた事項については、今後の事業執行及び来年度の予算編成に反映させるなど、適時適切な対応を講じられるよう要望して、決算特別委員会の報告とします。 ○御手洗吉生議長 以上で委員長の報告は終わりました。 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。 別に御質疑もないようですので、質疑を終結し、これより討論に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕 ◆堤栄三議員 おはようございます。日本共産党の堤栄三です。私は、第87号議案2021年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論を行います。 まず、歳入全体についてです。今回の一般会計歳入決算は7,964億9,827万円となり、新型コロナウイルス感染症対策関連決算など当然必要なものも含まれています。施策ごとの賛否を問えない以上、以下の意見を付して反対討論します。 コロナ対策や災害復旧などにより県債が増えるのはやむを得ない場合もありますが、将来的な公債費の増加は結局県民負担となってしまうので、さらなる発行抑制に努めるべきです。 県税の歳入決算では2021年度で不納欠損が4.7億円、収入未済が9.6億円となっています。主に個人県民税が占めていますが、アベノミクスによる異常な金融緩和による円安の続行やコロナ禍、ロシアのウクライナ侵略戦争による食料品など輸入品のさらなる値上げのトリプルパンチによって事業者の経営が厳しく廃業に至っているケースも多々見受けられます。また、県税事務所の窓口で納税困難者に対しては、納期内に納めている人との公平性、安易な適用でモラルハサードになるなどの考えで対応してはなりません。滞納させないためにも徴収猶予や換価の猶予などの制度の積極的な活用を図ることが大切です。 そして、景気対策としての消費税の減税や、零細事業者に過大な負担を押し付ける来年10月からのインボイス制度の中止を国に求めるべきです。 以下、歳出決算について反対の理由を具体的に述べていきます。 新型コロナウイルス感染症拡大防止対策及び県民の暮らしや福祉応援の予算へ。 新型コロナウイルス感染症も3年目を迎えています。PCR検査の拡充や無料検査の拡充など積極的な対策も見受けられますが、誰でも、いつでも、無料で受けられる体制への構築が必要です。さらにコロナ感染症が第8波到来かと言われるように感染拡大傾向に突入しています。県内の中小企業や零細事業者はコロナ感染症拡大や異常な円安等で景気後退の中、塗炭の苦しみにあえいでいます。国の経済対策でも約29兆円もの補正予算が成立しましたが、内容はガソリンやガス代等に対する元売企業への補助金であり、中小企業に対する直接支援策がないのが実態です。また、軍事費拡大のための軍事予算も含まれており、許せるものではありません。 国によるマイナンバーカードと健康保険証とのひも付けを2024年10月までに原則義務化と突如打ち出したことに怒りの声が上がっています。しかし、11月13日で県内のオンライン資格確認導入医療機関は全体の37.1%であり、国民健康保険被保険者については、10月17日時点で一体化に申請登録した人は県内で僅か23%でしかありません。県としても一体化できない人に対する現行の医療制度が守れるよう国に要望していますが、ぜひひも付けを中止するよう求めるべきです。 また、県としてマイナンバーカードの普及にも取り組んでいますが、様々なポイントを付けるなど利益誘導して取得させようとしていますが、それでも10月末で51.4%となっているのが実情です。多くの県民はマイナンバー制度による様々なひも付けで、国による一元管理されることやプロファイリングに利用されること、情報の流出など危惧しているため取得しないのが実態です。強制のようなマイナンバーカード取得は直ちに中止するよう求めるべきです。 また、現行コロナ禍で福祉保健部の職員が奮闘していることは理解していますが、長時間の時間外勤務が存在し、職員の健康面からも大変心配されます。保健所の職員を9人増やしたことは評価します。しかし、統合前から比べれば全体の職員は減少しているのが実態です。県立病院の医療スタッフも含め、今後新たなウイルスによるパンデミックに対応するためにも、福祉保健部門の職員増が必須です。来年度予算ではぜひ職員増を実施するように求めるものです。 次に、補助金漬けの企業立地優先から県内中小企業支援策へ。そして、正規労働が当たり前のルールをつくること。2021年度は68件の企業誘致を行っています。誘致のために工業団地造成等に約26億3千万円、企業立地促進事業として約2億6千万円を支出しています。企業の立地基準は補助金の多さではなく、労働力や地理的・自然的条件が立地のための基準となっています。大企業などへの補助金は直ちにやめ、コロナ禍で困っている県内99.9%の中小企業にこそ支援策を講ずるべきです。大分県の地域経済を担っている多くの中小企業やコロナ禍で疲弊している方々に対して固定費などの支援策を講ずるようにしていただきたい。 進出大企業は直接の正規雇用ではなく常用雇用となっているのが実態です。不安定雇用は働く人にとっても大分県にとっても安心できる働き方ではありません。県は企業訪問の際、正規雇用と要請しているだけであり、立地協定書に正規雇用を明記すべきです。来る当てのない企業のために団地造成するのではなく、疲弊している県民の暮らしや福祉応援のためにこそ税金を使うべきです。来年度予算では、ぜひこの立場に立つことを強く求めます。 県内中小企業支援策としての公共事業も必要なものです。災害復旧や急傾斜地崩壊対策事業、生活環境の保全や生活道路の利便性向上などのための地域の安心基盤づくりサポート事業や、身近な道改善事業など生活に密着した公共工事等もあります。ぜひこれらの事業について来年度予算を増額し、安心して暮らしていける住環境をつくるように要望します。 また、台風第14号等、災害による住家の被害について、国や県の制度とあわせて一般的なリフォーム助成制度を創設し推進すべきです。創設すれば、家の長寿命化やCO2削減にも大きく貢献します。中小企業の仕事拡大による地域経済の活性化にも大きく貢献します。来年度予算に組み入れるべきです。 しかし、今回の決算でも、東九州新幹線推進事業については機運醸成のためとして、シンポジウムの開催で推進だけの意見表明が大きく取り上げられているのが実態です。並行在来線も含めた危惧を表明する人も参加させ、聞いている県民が公平に判断できるようにするべきです。そのようなことを行わず、ただ単に利便性等が向上するだけの事業への支出はすべきではありません。さらに豊予海峡ルート構想については、推進協議会に78万円支出していますが、国ですら全く推進の意図のないものへの支出は中止すべきです。 次に、日出生台での海兵隊の演習中止と同和関連の支出は中止すること。 今年度の日出生台演習場での米海兵隊の演習では、事前の情報も外出の情報も県民には全く知らされないまま行われました。高機動ロケット砲システムのハイマースが今回初めて使用され、正に演習の拡大と言わざるを得ません。来年度以降、米軍の演習は中止するよう国に求めるべきです。 また、相変わらず部落差別の事象があると言っていますが、実態は大分地方法務局では3年間で14件、自治体の相談では47件と僅かな件数でしかありません。また県民アンケートでは、4割近くが差別意識を持っているとして、生活相談などを運動団体に委託していますが、憲法19条にも抵触する可能性のある同和対策関連事業はいい加減に廃止すべきであり、来年度予算に計上しないよう求めるものです。 また、教育分野でも同和対策としての教育の推進や、ずさんな貸付けによる地域改善対策奨学金貸付の焦げ付きなど、負の遺産となっており、同和教育関係予算は全廃すべきです。 次に、農林水産業の振興についてです。 昨年、大分県農業非常事態宣言を発出し、その改革の取組をして危機を脱していくと言っていますが、現実には九州の中でも、これまで農林水産業の生産額は最低、あるいは低いのが実態です。大規模化や企業化等に支援を特化し、日本古来の家族農業を潰してきたこと、食料は外国から買えばよいとして日本国内農業の振興を怠ってきた結果等です。 さらにTPP11、日EU・EPA、日米FTAなど相次いで外国農産物の輸入に道を広げてきたことや、最近では円安やウクライナ侵略戦争によって食料品の輸入が滞り、国民に耐え難い値上げが強いられています。国に対し日本農業潰しの悪政をやめるよう強く求めるべきです。 次に、教育予算の充実で学校教育条件の整備、充実を図ること。 現在、学校の先生の働き方がブラックと言われ、新任教員のなり手が少なくなっているという根本的な問題があります。小中学校現場では、先生が今年10月1日で48人の欠員であり、今後35人学級の拡大により90人の先生が必要となる見込みです。先生のなり手を増やすこととあわせて、新任の先生の10年3地区の異動という大分県独自のやり方が若い先生に大きな負担を与えています。いくら本人の希望に沿うといっても、それを言えない環境も問題です。このような問題があるとして県教育委員会もようやくその見直しの議論を始めています。廃止するようにすべきです。抜本的にはブラックと言われる働き方を是正し、少人数学級の高校までの拡大で、先生等の定数を増やすことです。国がやらなければ県独自にでも前倒しで小学校全学年への30人学級や中2年、3年、高校への段階的実施をすることが、将来の大分県を担う子どもたちをつくる前提です。 また、教育現場でICT推進により、タブレット一人1台体制を実施しています。やはりセキュリティーの問題はあります。外部とインターネットを遮断したとしても機械は100%安全ではなく、人為的ミスも生じてしまいます。このような危惧の中で、また現場の声を十分聞かないで推進することには反対です。 最後に、2016年大分県で問題になった隠しカメラ事件では、大分県警察が団体の出入りを監視していたことに使われたビデオカメラのリース代が496万円で、2022年3月末で55台所有していることが明らかになりました。 また最近問題となった商業衛星の画像を購入し捜査に利用していることも明らかになりました。全く歯止めがない捜査手段の拡大につながる危惧があり、あわせて大分県警察が昨年実施した件数は捜査上の問題であり公表しないという隠蔽体質も明らかになりました。これでは大分県警察に対して安心して信用できることにはなりません。このようなものに対する支出を認めるわけにはいきません。 日本共産党として今回の一般会計決算について、県民の暮らしと福祉の充実で県民の所得を向上させ、コロナ禍の不安を解消し、安心して大分県で暮らせる予算への転換、大企業の身勝手な大量解雇に反対し雇用を守る県政へ。そして、大企業に補助金を出すのではなく、疲弊が進む地元中小企業者への支援、農林水産業の振興等を県政の中心に据えることを求めるものであり、それを来年度予算に反映させることを強く求め、反対討論とします。 以下、特別会計決算等についての反対討論です。 まず、第1番目、第86号議案2021年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、電気・工業用水道事業会計における内部留保も、各々2021年度、約57億円、約65億円となっています。今後のリニューアル等に経費がかかるにしても、県の一般会計への繰り出しを企業誘致等に限定するのではなく、県民の暮らし、福祉を応援するための繰り出しとすべきです。 また、今後、消費税インボイス制度が実施されると、免除事業者から課税事業者への転化などが問題になってきます。企業局として入札参加が全て課税事業者であっても、その1次から3次下請が免税事業者であることも考えられます。企業局として工事元請事業者が下請免税事業者に対して、強引な課税事業者への転換をすることがないよう指導すべきであることを指摘しておきます。 次に、第92号議案2021年度大分県流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算の認定についてです。 負の遺産を少しでも減少させるためには売却を進めるべきと考えます。しかし、当初計画では2003年度に完売予定でありましたが、それができなく、今では2028年度に延長しています。当然売却が進まなければ利子の負担ばかり増えてしまいます。企業が来るであろうと造成した事業が全く計画どおりに進んでいないのが現状であり、売却が進まなければ負の遺産が増えるだけです。 第96号議案2021年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算の認定についてです。 今回の決算で、造成費に係る減債基金や償還金として約16億円支出しており、特に6号地C-2地区は進出企業のために造成しましたが、結局進出はなく、県としてセールスを行い、ようやく販売のめどが立ったという負の遺産であす。 第97号議案2021年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定についても、港湾施設整備事業費に約43億円支出しており、これまでも反対理由を述べてきたように、大企業優遇等の決算であり反対します。 以上で各決算議案に対する討論を終わります。 ○御手洗吉生議長 以上で通告による討論は終わりました。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 まず、第84号議案、第88号議案から第91号議案まで、第93号議案から第95号議案まで及び第98号議案について採決します。 各決算は委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定しました。 次に、第85号議案について採決します。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定しました。 次に、第86号議案について、起立により採決します。 本案に対する委員長の報告は、可決及び認定であります。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、本案は委員長の報告のとおり、可決及び認定することに決定しました。 次に、第87号議案、第92号議案、第96号議案及び第97号議案について、起立により採決します。 各決算に対する委員長の報告は認定であります。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、各決算は委員長の報告のとおり認定することに決定しました。  ------------------------------- △日程第3 一般質問及び質疑 ○御手洗吉生議長 日程第3、第102号議案から第117号議案まで並びに第5号報告及び第6号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。三浦正臣君。  〔三浦議員登壇〕(拍手)
    ◆三浦正臣議員 皆様おはようございます。16番、自由民主党、三浦正臣です。早速、一般質問に入ります。 まず初めに、広瀬知事就任以来5期20年の県政運営の総括について伺います。 広瀬知事におかれては、本年10月の記者会見において、来年の県知事選挙へは出馬せず、今任期をもって勇退すると表明されました。県民の皆さんも大変残念な気持ちだと思います。5期20年にわたって卓越した行政手腕を存分に発揮され、県政の発展に尽力いただいたことに対して、深く敬意を表し、感謝申し上げるところです。 さて、広瀬県政も残すところ5か月足らずとなりましたが、知事におかれては就任以来、県民中心の県政を基本とし、県政ふれあいトークなどにより、各地域の県民の思いや課題の把握に積極的に努められ、安心・活力・発展の大分県づくりに一貫して取り組んでこられました。こうした県民と共に、誰もが安心して心豊かに暮らし、知恵と努力が報われ、将来とも発展可能性豊かな大分県をつくっていこうとする知事の姿勢に、多くの県民が期待を寄せ、正に未来を託してきました。 この20年間を振り返ってみると、危機的な財政状況に直面する中での聖域なき行財政改革に始まり、教育委員会の不祥事を契機とした教育改革や平成の大合併など、様々な困難な課題にも正面から取り組み、大きな成果を挙げてこられました。 また、頻発・激甚化する自然災害に何度も遭遇しながらも、知事自ら先頭に立って懸命に指揮を取り、迅速な復旧、復興を成し遂げてきたことは、私たちも心から敬意を表する次第です。 あわせて、本県最大の課題である地方創生の実現に向けて、子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率の三つの日本一の実現や、地域に雇用の場を生み出す企業誘致の促進等の産業振興などに、力強く取り組んでこられました。 他方、このような間も、人口減少・少子高齢化の流れはなかなか止まらず、地域の活力が失われてしまうことが心配されるなど、我々には厳しい現実が突き付けられています。こうした困難な時代の中にあって、今後の大分県の発展を考えると、地方創生の加速前進はもとより、今後の発展の基盤となる新たな産業の創出など、県民が将来に夢と希望を抱ける大分県づくりの必要性がますます高まっていると考えています。 そこで、知事に伺います。5期20年の県政を振り返って、これまでの県政運営をどのように総括し、次の時代にどうつなげていこうとしているのか、知事の考えをお聞かせください。 以降は対面より質問します。  〔三浦議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの三浦正臣君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 三浦正臣議員の御質問にお答えします。 私は就任以来、県民中心の県政を基本姿勢とし、安心・活力・発展の大分県づくりを目標にしてきました。県民の県政に寄せる気持ちをよく理解するために、県内をくまなく回り、しっかりと思いを伺ってきました。例えば、県政ふれあいトークでは、延べ881か所、1万7,324人の皆さんと対話を重ねてきたところです。県民の心を心として県政を担ってきたことが、県民の支援と協力につながったのではないかと考えています。 大分県は県民の皆さんにとって、暮らしの場であり、仕事の拠点です。この大分県を、安心して心豊かに暮らし、生き生きと仕事ができ、将来にわたって発展可能性豊かなものにしていくことが大変大事だと思ってきました。 安心の分野では、三つの日本一を目指してきました。子育て支援では、出会い・結婚から、妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援を行ってきました。障がい者雇用では、障がいに対する企業側の理解促進に努めてきました。また、健康寿命では、県民総参加の健康づくりを進めた結果、お陰様で、男性全国1位、女性4位に躍進したところです。 活力の分野では、知恵と努力が報われる活力あふれる大分県を目指して、人と仕事の好循環に取り組んできました。中小企業の振興はもとより、新たな活力を生み出すベンチャーの育成や創業を支援してきました。うれしいことに、創業は年間500件を超え、このうち女性の割合が約3割に達しています。また、企業誘致にも力を入れ、昨年度までに延べ587件の誘致を実現しました。2万2,347人の新規雇用を創出したところです。 さらに、発展著しい先端技術を活用した新産業の創出の支援や、世界的に伸びゆく宇宙分野にも果敢に挑戦しています。 発展の分野では、平成20年の教育委員会不祥事を契機に、教育委員会や現場の先生も一体となって教育改革に取り組んできました。今や小中学校の学力、体力は九州トップレベルとなっており、県民の信頼も取り戻せたのではないかと思います。また、大分県にとっては、交通ネットワークや防災など、社会資本整備も大変大事です。国の5か年加速化対策予算を積極的に活用して、県土強靱化や交通ネットワークの充実に取り組んできました。 以上のとおりです。 浅学非才ながら、何とかこれまでやってこれたのは、県民の皆様の御理解、御協力と、当県議会議員各位の御指導のたまものだと、改めて深く感謝申し上げる次第です。 これから大分県、またこれまでのようにいろんな課題が出てくると思いますが、県民が力を合わせてしっかり取り組んで、また新たな明るい未来を切り開いていただきたいと思っています。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、御丁寧な御答弁ありがとうございました。正に様々なことがあった激動の20年だったと思います。災害や新型コロナウイルス感染症など、県民の安全・安心を守るために取り組んでいただいたことはもちろん、ラグビーワールドカップや国民文化祭など、夢と希望をもたらす大きなイベントにも積極的に取り組んでいただき、誠に敬服する次第です。また、本議会開会日、知事からは残りの任期も諸課題が解決へと近づくよう、緊張感を持って職務を全うするとの御発言もありました。私も同様に任期満了まで緊張感を持って職責を全うしていきます。どうか引き続きよろしくお願いします。 それでは次に、円安及び物価等の高騰による県経済への影響について質問します。 歴史的な円安が進む中、日銀が10月に発表した全国企業短期経済観測調査では大企業製造業の業況判断指数が3期連続で悪化しています。かつて円安は日本経済の追い風でしたが、構造変化で恩恵が広がりにくくなっています。 円安は輸出企業に輸出量の拡大や利益の改善をもたらしますが、多くの企業にとっては輸入物価の上昇でコスト増要因となります。販売価格も上がってきてはいますが、価格転嫁は道半ばです。加えて、新型コロナ関連融資の返済負担ものしかかってきています。中小企業を中心とした生産性、収益力の向上が急務となっています。 一方で消費者側に目を転じると、10月の全国消費者物価指数は前年同月比3.6%上昇し、40年8か月ぶりの高い伸び率となりました。政府と日銀が掲げる2%の物価上昇目標の2倍近い水準となったものの、物価変動を考慮した実質賃金はマイナスに沈んでおり、十分な賃上げを伴っておらず、日本経済にとってはマイナスの状況が続いています。特にこの10月からは、食品の値上げが約6,600品目にも達するなど値上げの波が重荷となっており、消費者は節約志向を強めています。個人消費の低迷が景気の減速につながりかねません。 このような中、政府は10月28日に、国民生活や事業活動をしっかりと支え、未来に向けて日本経済を持続的に成長させるため、物価高騰・賃上げへの取組、円安を活かした地域の『稼ぐ力』の回復・強化、『新しい資本主義』の加速、国民の安全・安心の確保を四つの柱とした新たな総合経済対策を閣議決定しました。 電気料金高騰による家計や企業への負担軽減策や観光需要喚起策、子育て支援など、正に時宜を得た対策であると思いますが、県でもこれと歩調を合わせて、早急な対策を講じる必要があると考えます。 正に本日、補正予算案が追加提案されましたが、今後も状況を勘案しながらの弾力的な対応が求められると思います。 そこで、円安や物価等の高騰を踏まえ、中小企業や消費者への影響をどのように分析し、また、特に消費の落ち込みを防ぐために今後どのように対策を講じていくのか、知事の見解をお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 円安及び物価高騰による県経済への影響と対策について御心配いただきました。 ウクライナ情勢や円安等に伴うエネルギー・原材料価格の高騰は、なお続いており、事業活動や県民生活に影響を及ぼしています。 日銀大分支店は、直近の景気判断を持ち直しているに引き上げたものの、県が実施している秋の500社企業訪問調査では、約7割の企業が物価高騰の影響への懸念を持っており、先行きには不安が残ります。 個人消費についても、先行きは必ずしも明るくありません。例えば、大分市の10月の消費者物価指数は、前年同月比で2.8%まで上昇しており、これから家計の消費マインドに与える影響を一層注視していく必要があると思います。 先日、国が発表した総合経済対策には、ガソリンなどの価格を抑制する補助制度の延長のほか、新たに電気や都市ガス等の料金を抑制するための補助制度の創設が盛り込まれました。これらのエネルギー価格の高騰は今後も継続することが懸念され、本補助制度による負担軽減の効果が期待されるところです。 他方、価格の上昇は、エネルギーのみならず、日常生活に欠かせない食料品や日用品にまで広がっています。これらの消費全体を下支えしていくことが重要になってきました。 県では、これまで2度にわたり、市町村と連携し、プレミアム商品券を発行してきました。発行総額は約207億円、発行冊数は約190万冊と多くの県民に利用され、小売、飲食など幅広い事業者から売上げの回復に役立っているとの声をいただいています。 また、12月27日まで延長された新しいおおいた旅割第2弾の中でも、地域の飲食店や土産物店などで利用可能なクーポン券を発行しており、消費の活性化に一役買っています。引き続き、発行総額が130億円程度になるプレミアム商品券の第3弾や、旅行者向けのクーポン券の追加配布を実施して、足下の消費を切れ目なく支えていきます。 また、より長い時間軸で、消費の活性化を考えていく場合には、やはり賃上げは欠かせないと思います。賃上げを行える企業体質の強化には、やはり生産性の向上が重要です。国の総合経済対策では、事業再構築補助金や生産性革命推進事業の拡充など、手厚い支援策が用意されています。県でも、商工団体などの支援機関と連携して、県内企業による活用をしっかりと促していきます。 もう一つは、価格転嫁の促進です。賃金の引上げ分や、原材料の値上がり分を、事業者が価格に転嫁できることが必要です。消費需要を下支えしつつ、企業間取引の適正化への働きかけを強めることにより、価格転嫁しやすい環境をつくり出していきます。 こうした複層的な取組により、経済を民需主導の自律的な成長路線へと戻していきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。正に経済への影響が懸念されていましたが、本日、国の総合経済対策に呼応した400億2,107万2千円の補正予算がさきほど提案されました。今後も弾力的かつ切れ目のない迅速な対応を引き続いてお願いします。 次に、東アジア文化都市事業の成果と今後の展開について質問します。 本県が今年1月から取り組んできた東アジア文化都市事業も今月末で取組期間が終了します。先月、11月6日には、韓国慶州市の訪問団も迎えて閉幕式典が開催されました。式典では、これまでの取組を総括するとともに、次期開催都市である静岡県への引継ぎも行われました。 本県の東アジア文化都市事業は、「県民総参加で『おおいた』の文化を発信し、東アジアとの交流によって新たな文化を切り拓く」を開催テーマに掲げ、県内の芸術文化団体や市町村とも連携しながら取り組んできました。音楽演奏、絵画展示を始め、中国、韓国との文化交流イベントなど、魅力的な催しが県内各地で行われ、様々な分野の芸術文化活動の機会が創出されました。このような取組は、これまでコロナ禍の中で、芸術文化活動や鑑賞機会が少なくなっていた方々にとっては、大変良い機会になったと思います。また、中国、韓国の文化に直接触れることで、国際交流に関心が高まった方も数多くいたのではないでしょうか。 大切なことは、こうした取組を一過性のものとしないことであり、今後の発展にどのようにつなげていくかが、これからの大きな課題になると思います。 東アジア文化都市事業の基本構想において、人を育ていかす、地域を創造する、東アジアの相互理解と多様性の尊重に貢献するという三つの事業目標を掲げています。これは、人材育成や、芸術文化の産業への活用、国際交流、相互理解促進など、現状における芸術文化振興における課題とも言えます。東アジア文化都市事業の取組を契機として文化都市として発展していくためには、切れ目なく対策を講じていくことが肝要です。 そこで、知事に伺います。東アジア文化都市事業の具体的な成果と、その成果に基づく今後の展開についてお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 先日、閉幕式を迎えた東アジア文化都市事業について御質問いただきました。 東アジア文化都市事業では、県民総参加のテーマの下、県内各地で様々な公演やイベントが開催され、本県芸術文化の懐の深さを示すことができたと考えています。 コア事業のアーティスト・イン・レジデンスの取組では、別府市において、交流都市である中国温州市と韓国慶州市からのアーティストによる作品制作とともに、ワークショップを通じた地域交流にも取り組みました。 また、大分アジア彫刻展では、温州市と慶州市で初めての海外展示会を開催し、彫刻展の国際発信力を一段と高めることができました。 さらに、和太鼓集団DRUM TAOは、久住高原のTAOの丘で日中韓のコラボライブを行い、各国の伝統音楽が一体となる様子は、東アジアの新たな文化を切り開く可能性を大いに感じさせてくれました。 こうしたコア事業に加え、県内の芸術文化団体による活動も活発に行われました。100を超えるイベントが各地で開催されました。これらの活動は、県内の枠にとどまらず、中国、韓国との草の根交流としても着実に進展しました。 例えば、地場産業の下駄を履いてダンスパフォーマンスを行う日田もりあ下駄いの皆さんは、慶州市でのイベントに出演して、ステージを大いに盛り上げたと伺っています。 このように、今年は、コロナ禍の中という難しさはありましたが、大分県の芸術文化の情熱が各地で大いに沸き上がりました。県としては、これから次の三つの観点からさらなる展開を図っていきたいと考えています。 一つは、アートマネジメント人材の育成です。芸術文化活動を継続、発展させるためには、アーティストの意図を的確に酌み取り、芸術活動を社会に広げる必要があります。そのため、芸術文化と経済活動・産業とを橋渡しし、アピールしていく人材を育てていきたいと考えています。 現に、このたびの東アジア文化都市事業においても、県内外のアートマネジメント人材が大変活躍して、アーティストと大分県の地域社会とを結んでくれました。非常にこういったものがこれからは有効だと思いました。こういう人材を育てていきます。 二つは、地域を活性化することです。芸術文化がもたらす感動や感性に訴える力を活用して、そのエネルギーを社会経済の新たな活力につなげていきます。 三つは、草の根交流のさらなる推進です。国際文化交流は言葉の壁がある中、交流先の情報入手やアポイントメントを取ることも容易でないなど、交流の継続には様々なハードルがあります。できるだけこうしたハードルに丁寧に対応しながら、芸術文化のみならず、産業や観光での国際交流も活性化させていきたいと考えています。 今後もこうした課題に向き合って、東アジア文化都市事業で得た成果をしっかりといかして、「創造県おおいた」をさらに前に進めていきます。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。今後は三つの観点で、アートマネジメント人材の育成、地域に活性化をもたらしていく、草の根の交流をさらに深めていくということでした。正にこれからが本番であると思います。さきほど知事からもあったように、今後は都市間交流が文化面にとどまらず、観光や産業振興など幅広い分野で地域の発展につながるよう、ぜひ努めていただきたいと思います。 それでは次に、商工観光行政をめぐる諸課題について、まず、海外販路の開拓について質問します。 さきほども触れましたが、円安により原油などの輸入物価が大きく上昇しており、コロナ禍からの回復を目指す企業にとって重い足かせとなっています。日本と外国の物価上昇の差や、カーボンニュートラルのすう勢などを考えれば、ある程度の物価上昇は今後も続いていく可能性があります。企業は物価上昇の時代に対応すべく、事業の再構築を進めていかねばなりません。 円安は、企業の経営にとって、輸入物価の上昇という面では確かに打撃となりますが、逆に海外に商品を売るという面においては、チャンスでもあります。経済産業省によれば、アマゾンなどのECサイトを使ってアメリカや中国などの海外に商品を売る越境ECは、コロナ禍において着実に増加しています。 本県でも、人の動きが制限され、リアル店舗の顧客が減少する中で、おんせん県おおいたオンラインショップを活用して、ECで域外に活路を見いだそうとする事業者を増やそうと努力されていると思います。また、これまで輸出になじみのなかった食品販売事業者が、輸出にチャレンジすることをサポートする事業も新たに始めていると伺っています。 コロナ禍、物価高騰を乗り切り、アフターコロナの時代に進んでいくためにも、円安を好機と捉え、海外への販路開拓に取り組む事業者を増やしていくことは大変重要だと思います。海外販路の開拓については、県内企業の現状と今後の県の取組について商工観光労働部長にお尋ねします。 次に、誘客対策についてです。 観光産業の再活性化に向け、10月11日から新しいおおいた旅割の対象が九州、隣県から全国に拡大されました。国の制度変更に伴う全国的な措置であり、エリアの拡大とあわせて、1泊旅行の地域クーポンを含む補助上限額が7千円から1万1千円に引き上げられました。また、補正予算では約61億円が追加され、当面の支援の原資が確保されています。活性化の起爆剤として、大変有効な支援策と考えていますが、コロナ禍で観光産業が受けた打撃の大きさや、いまだに拡大と収束を繰り返しているコロナの不安定な状況を考えれば、今後の不安は尽きません。 また、コロナ前に盛んに言われていた観光の成長産業化の視点も忘れてはなりません。成長産業化のためには、他産業に比べ低いと言われる生産性の向上が不可欠ですが、その阻害要因の一つに、顧客数の季節差や休日、平日の差が大きいという不安定なビジネス環境があります。コロナ前はインバウンドが顧客の平準化に貢献している側面がありましたが、インバウンドが本格化し、コロナ前の水準に戻るまではもう少し時間がかかるのではないかと思われます。観光事業者の創意工夫はもちろん必要ですが、こうした観光業の特性を踏まえた支援があってもよいのではないかと思うところです。 もう一つの課題として、観光消費の拡大もあります。宿泊業だけでなく、飲食、小売、レジャーなどの観光サービスでの消費をいかに増やしていくかという視点も忘れてはなりません。 コロナ禍で大きくつまずきましたが、本県の観光産業は、製造業に続く基幹産業となる可能性を秘めた産業であることは間違いないと思います。観光業界の皆さんが一丸となって取り組む目標として福岡・大分デスティネーションキャンペーンの準備も始まりました。観光産業のコロナ禍からの回復に加え、成長産業化に向けた再スタートを切るためにも、もう一段の支援が必要と考えます。観光産業の復活とさらなる発展に向けた誘客対策について、観光局長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 海外販路の開拓についてお答えします。 海外販路の開拓は、現下の円安状況をいかして地域の稼ぐ力を回復し、強化することができる重要な課題と認識しています。 大分税関が調査した県内港における鉄鋼や事務用機器など主要品目の令和3年輸出額は7,736億円と、コロナ前の平成30年と同水準まで回復しています。本年上半期も、前年同期比約15%増の4,459億円と着実に増加しています。 また、県の調査では、中小企業が多くを占める食品加工産業の昨年度の輸出額も前年度比121%と拡大しています。 県ではこれまでも、ジェトロと連携した現地フェアの開催、大分県LSIクラスター形成推進会議での海外企業とのマッチング、食品加工産業を対象とした越境ECでの商品提案や商談のサポートなど、県内企業を幅広く支援してきました。 今後とも、ウィズコロナの下、リアルとオンラインを併用した商談機会の拡大や、海外で活躍する県内大学卒業生と連携した新市場開拓など、関係機関などとしっかり連携した支援を強化して、県内企業の海外販路開拓を後押ししていきます。 ◎秋月久美観光局長 私からは誘客対策についてお答えします。 県はこれまで旅割などの需要喚起策に加え、宿泊施設の自動精算システムの導入や現場リーダーの育成など、事業者の生産性向上を下支えしてきました。 こうした取組もあり、本年10月の日本人宿泊者数は、コロナ禍前と同水準にまで回復しました。さらに、事業者が生産性向上のために、資本の壁を越えて地域で連携する取組を支援しており、例えば、国東地域ではアメニティの共同購入システムの導入に向け準備を進めています。 加えて、宿泊者データを自らの経営戦略にいかすためのDXも進めています。 また、観光消費の拡大には、滞在日数の延長やリピート頻度の向上が重要です。グランピングでの星空観賞や湯けむりナイトウォークなどの体験型コンテンツの開発に取り組む事業者をこれまで支援してきました。 現在、本県の豊かな自然をいかしたアドベンチャーツーリズムやサイクルツーリズム、宇宙港など、新たな観光コンテンツの創出に加え、これらも含めた魅力発信のためのデジタルマーケティングを展開しています。 ポストコロナを見据え、引き続き観光需要の喚起と観光事業者の生産性向上に取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございます。まず、海外販路の開拓ですが、正に今、世界のEC市場は急成長を続けています。本県のおんせん県おおいたオンラインショップも平成30年3月から本格稼働していると思います。一時、コロナで休止していたようですが、しっかりこれまでの取組の成果や課題を分析して次につなげていただきたいと思います。他県では、同様にかなり積極的に補助等、セミナー等も開催しながら行っている県もあるので、ぜひ本県の取組と比較していただければと思います。 誘客対策、今御答弁あったように、10月の日本人宿泊者数、コロナ前と同水準まで回復したということです。今後の感染状況を考えると、非常に楽観視できないと考えます。特に、さきほども言いましたが、季節差、休日、平日の差が大きいという不安定なビジネス環境にあります。成長産業化に向けた再スタートを切るためにも、もう一段の支援が必要ではないかと考えますが、観光局長、いかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 観光需要の回復を確かなものにするためには、今現在、年内を期限に実行している新しいおおいた旅割の第2弾に加え、一層の支援が必要と考えています。そのため、年明け以降も割引率等を見直した上で、全国旅行支援を継続実施するとともに、全国旅行支援終了後も、特に閑散期の観光需要喚起策として県独自の旅行支援を実施するために、今回必要な予算を追加上程したところです。 今後も観光需要の急激な変動緩和を図りつつ、県内事業者をしっかりと支援していきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございます。正に今御答弁あったように、閑散期や平日にどうお客様を呼び込むかがとても大事だと思います。ぜひ引き続きお願いします。 次に、今後を見据えた取組の強化の一つとして、そして、新しい資本主義の実現の原動力ともなる人材の育成に焦点を当てて質問します。 隣の熊本県に半導体受託生産の世界最大手のTSMCが工場建設を進める中、半導体製造等に携わる人材の育成が急務となっています。 国はデジタル田園都市国家構想基本方針において、構想の実現に不可欠であるデジタル推進人材について、2026年度末までに230万人の育成を目指すことを打ち出しており、DX人材の育成は喫緊の課題となっています。 お膝元の熊本県では、熊本大学に半導体人材を育成する学部相当の情報基盤融合学環(仮称)を新設する予定のほか、本県でも県立工科短期大学校において令和5年度から電気エネルギー制御科を創設することとしており、デジタル人材育成の環境整備の兆しが見られます。 一方で、さらに裾野が広い高校生の段階からも今後の産業界に必要不可欠なデジタル人材の育成が急務であると考えます。大学や企業との連携による最先端技術を取り入れた授業の展開のほか、郷土愛を持ち、地域ビジネスなど社会の発展に貢献できる人材の育成も大切です。 折しも教育委員会では、県立高校未来創生ビジョン策定にあたり、全ての高校の魅力向上のための議論を進めているようですが、急速に進むデジタル化を踏まえ、県立高校において、新しい時代に対応するデジタル人材の育成に向けてどのように取り組んでいかれるのか、教育長に伺います。 次に、人材を育成する上で大切な児童生徒の学力について伺います。 文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査は、その目的を、一つ、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し改善を図ること、二つ、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、三つに、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することとして平成19年度から実施されています。 開始当時の本県の学力調査結果は、特に小学校において、全ての教科で全国の平均正答率を下回り、同年第4回定例会の教育長答弁で、厳しい結果となったとの答弁もありました。その後、努力を重ねてきたこともあり、ここ数年の調査結果は、小学校、中学校とも、全国の平均正答率と同率、又は上回る結果が表れてきています。 一方で、2年連続で全教科の正答率が全国平均を超えた小中学校数は前年度より下回っており、コロナ禍での授業計画の変更等もあいまって不安な要素もあるところです。 そこでお尋ねします。人材育成に大切な児童生徒の学力の向上については、これまでの取組を総括するとともに、今後さらなる向上に向け、どのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 次に、競技力向上対策について伺います。 新型コロナの影響により、これまで様々なスポーツ大会が延期、中止を余儀なくされてきました。こうした中、国内最大級のスポーツの祭典である国民体育大会が、栃木県において、いちご一会とちぎ国体として3年ぶりに開催されました。スポーツ界にとどまらず、社会全体にも明るいニュースを届けてくれたと思います。 大会を振り返ると、本県代表選手団であるチーム大分は、目標である天皇杯得点1千点にこそ届きませんでしたが、989点を獲得し、目標まで僅か11点の健闘を見せてくれました。 中でも目を引いたのは成年選手の活躍です。サッカーやフェンシング成年男子、空手道成年男女、ライフル射撃や、陸上競技成年女子で優勝するなど、チーム大分躍進の原動力となりました。また、少年においても、なぎなたやアーチェリー少年女子、テニス少年男子が優勝しました。2年連続の中止により、少年選手にとって初めての国体であったにもかかわらず、臆することなく堂々とプレーしている姿はとても頼もしく思いました。 私は、スポーツは勝ち負けが全てであるとは思いません。しかし、スポーツ活動に伴う競争や勝敗、そこで生まれる交流は、公平、公正を尊び、他者を尊重し協調する精神を育み、お互いを認め合いながら支え合う、きずなの強い社会の実現につながると考えています。 3年ぶりに開催された今回の国体を通して、地元選手の活躍を身近に感じることができ、改めてスポーツの魅力を実感し、県民に勇気と感動を与えてくれる素晴らしい大会だと感じました。 そこでお尋ねします。国体の結果を振り返り、成果や課題をどのように今後の競技力向上にいかしていくのか、教育長に伺います。 ◎岡本天津男教育長 3点についてお答えします。 まず、県立高校におけるデジタル人材の育成についてです。 デジタル人材の育成は喫緊の課題であり、県立高校ではこれまでもオートバックスセブンや大分大学を始めとする、県内外の企業や大学との連携を推進しており、これを加速、充実させるため、来年度、学科改編等を行うこととしています。 将来の半導体製造等に携わる人材育成も急務であり、そのため大分工業高校の電子科の定員を40人から80人に倍増し、県内半導体人材の確保に努めます。 情報科学高校では、県内初の情報系学科のデジタル創造科を新設し、工業、商業の科目も含め、情報の知識等を幅広く学ぶ環境を提供します。 AIテクノロジー科とビジネスソリューション科では、情報科目の充実に加え、情報セキュリティーやコンテンツ制作など、実践的な学びを導入します。 津久見高校には、地域みらいビジネス科を設置し、観光ビジネスやマーケティングなどの学びにデータ活用を取り入れ、地域ビジネスの活性化に寄与できる人材育成に取り組みます。 これらの学科、コースにおける教育活動が円滑に行えるよう取組を進めていきます。 次に、学力向上対策についてです。 調査を開始した当初、本県の平均正答率は、小中学校ともに全国平均に及ばず、九州でも下位で、課題は組織的な授業改善にありました。そのため、先進県を参考に、低学力層の底上げに主眼を置いた授業改善の指針を示し、校長や学力向上支援教員等を対象とした研修会、あるいは芯の通った学校組織の推進により、全県一体で授業改善に取り組みました。今では、県内全ての小中学校で新大分スタンダードに基づく組織的な授業改善が進められています。 議員御指摘の全教科の正答率が全国平均を2年連続で超えた学校数の減少については、全都道府県で教育水準の底上げが図られ、結果として基準を満たすハードルが高くなったことが主な要因と捉えています。 今後は、小学校教科担任制など、これまでの取組に加え、国が進める令和の日本型学校教育において重視されているICTを活用した個別最適な学び、協働的な学びも取り入れ、児童生徒のさらなる学力向上を目指します。 最後に、競技力向上対策についてお答えします。 今回の好成績につながった要因としては、2年以上続くコロナ禍により活動制限などがあった中ですが、継続的に取り組んできた強化施策が成果となって現れたことが挙げられます。 具体的には、次世代を担う大分育ちのジュニア選手の発掘を目的とした育成事業です。中でもアーチェリー競技では、この事業により才能を見いだされた選手が各種別で活躍し、競技別総合優勝の原動力となりました。 また、トップアスリートの就職支援事業で仕事に就いた選手の活躍を始め、ライフル射撃の野畑美咲さんなど、大分育ちの新たなふるさと選手の獲得、ヴェルスパ大分など県内企業チームとの連携による選手強化が、成年種別の過去10年間での最高得点につながりました。 他方、課題は少年種別の得点の減少です。少年の競技力は成年の競技力に直結するので、少年選手の育成強化が重要です。 今後は、単年だけではなく、中長期の視点に立った少年選手の育成強化と、これまでの強化施策の一層の充実を図ることによって、競技力のさらなる向上に努めていきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 教育長、ありがとうございました。さきほども触れたように、国では2026年度末までにデジタル人材の育成、230万人を育成すると打ち出しています。新年度から大分工業高校、情報科学高校、津久見高校で新たな学科の再編ということで、時代の流れはとても速いので、その流れに遅れないように、ぜひ力強く進めていっていただきたいと思います。 学力向上の分で1点お聞きします。小中学校は、ICTやタブレットの活用が今既に日常的になっています。しかしながら、一部では自宅への持ち帰りが不可になっているなど、その利活用が十分にされていないとも伺います。 学力向上に向けたICTやタブレット利活用について、教育長の考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今年7月と9月、1学期と2学期に、市町村の端末の持ち帰り状況がどうなっているか調査しました。ほぼ毎日持ち帰りができている学校も増えてはきていますが、単一の市町村の中でも学校によって取扱いにばらつきが見られる実態が見えています。そういった学校がある市町村に対しては、持ち帰りを実施する計画書を定め、持ち帰りに努めるよう求めています。 授業と家庭学習の両方が効果的に連動された学習指導を進めて、学力向上につなげていきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございました。このICTのタブレット利活用等は、都市部では必要不可欠で、やはり大分県はまだまだ遅れているのではないかと実感しています。当然、学校の先生方は様々な専門の方を呼び研修等をされていると思いますが、まずは先生方がタブレットを使う楽しさとか便利さを実感していただくことが大事だと思います。少し遅いのですが、ぜひ大分の子どもたちの教育のためにという原点に立ち返って、しっかり取り組んでいただきたいと思います。 また、今、小中学生に触れましたが、高校生においても一人1台タブレットが前提になっている中、県立高校ではタブレット整備が進んできましたが、私立学校ではまだ整備が十分でない学校も見受けられます。タブレットの配備が目的でなく、スタートラインです。その利活用に今焦点が移っている中、タブレットの整備は前提条件です。これもぜひ県として検討していただきたいと思います。 さきほど競技力向上に少し触れていなかったので、目標の天皇杯得点1千点に11点届きませんでしたが、私は最後に、本当にチーム大分の底力を見せてくれたと思います。今年の成果、課題をしっかり共有し、来年の鹿児島国体はぜひ目標を達成するように、また大分でもブロック国体が開催されるので、各競技への支援をお願いします。 また、少年の選手育成がとても大事ということでしたので、先日、23日別府で行われた、チーム大分ジュニア発掘事業、アーチェリー競技を私も拝見しました。未来のオリンピアンを早い時期から育成していくことはとても重要であり、意義のある事業だと実感しています。この事業は、アーチェリー、ボート、カヌー、ウエイトリフティング、ライフル射撃、フェンシングの6競技で構成されていますが、ぜひこの事業終了後も、6競技の団体や関係者の皆様と協力し、引き続きチーム大分の未来を見据えて子どもたちの競技力向上を後押ししていただくようにお願いします。 それでは最後に、日出町における産業振興について質問します。 我が町日出町は、令和2年国勢調査で人口が転入超過となりました。県内では豊後高田市、中津市、別府市と並び4市町のみとなっています。中でも子育て世代でもある30歳代が増加しており、活気のあるまちづくりに向け、これからが楽しみな状況となっています。 その要因を考えてみると、一つには産業の集積が挙げられると思います。皆さんおなじみの麦焼酎のメーカー、二階堂酒造を始め、半導体の開発を行っている企業や車載用の半導体を製造している企業などの製造業も集積しています。 最近では、電気を通したり切ったりすることで、曇りガラスと透明ガラスを切り替えることができるフィルム、機能性液晶フィルムを開発した企業にも注目が集まっています。 このように産業の集積が集積を呼び、そして新しい雇用を生み出していくことが、正に産業振興の真髄と考えます。 こうしたことを踏まえ、日出町における産業振興についてどのように評価し、県内全域への展開も含め、今後どのように地域の産業振興に取り組んでいくのか、商工観光労働部長に伺います。 次に、ハーモニーパークの今後の展開について質問します。 昨年30周年を迎えたハーモニーパークは、楽しみながら創造性も磨ける参加学習型の都市公園として、平成3年に供用を開始しました。有料エリアである約6ヘクタールのハーモニーランドと、実証展示林と呼ばれる竹林を含む無料エリア約25ヘクタールのフリーゾーンで形成されています。 ハーモニーランドは、現在の指定管理者でもあり、企画力、演出力、運営ノウハウを有した株式会社サンリオエンターテイメントにより、魅力のある施設をそろえ、地域文化に触れながら楽しい一日を過ごせるような施設となることを目指して設立されました。 現在まで約1,600万人が来園し、大分県経済の活性化等にも貢献するなど、県内外から愛されている施設です。コロナ禍前は年間入園者数が50万人を超えていましたが、新型コロナウイルスの影響で、令和2年度は21万人、令和3年度は36万人と入園者数が大きく落ち込んでいます。 一方、ハーモニーランドに隣接するフリーゾーンについては、人と自然が触れ合うことができ、ゆっくりと時間が流れる憩いの空間として、県が遊具やイベントを行うステージなどの整備を行っているほか、約8ヘクタールに及ぶ実証展示林では竹林の散策などを楽しむことができます。しかしながら、フリーゾーンについても、さらなる利活用が望まれており、特に利用者の少ない実証展示林は、整備やPRが必要でないかと考えます。 本県では、令和6年度に福岡・大分デスティネーションキャンペーンが開催されることから、県内外の多くの観光客が訪れるチャンスであると考えます。この機を捉え、ハーモニーランドはもちろんのこと、フリーゾーンの整備とPRを行い、誘客に努めるべきであると考えます。ハーモニーパーク全体の今後の展開について、土木建築部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 日出町における産業振興についてお答えします。 議員御指摘のとおり、地域の産業振興には、産業集積の促進が重要と考えます。県としては、企業誘致や現地調達の促進などに地道に取り組んできました。 日出町には、大分県LSIクラスター形成推進会議の会員が大分市に次ぐ11社あり、半導体関連産業が集積しています。さらなる市場拡大が期待される中、県内企業がこの機会を逃さずビジネスチャンスを広げられるよう、販路拡大などを継続的に支援していきます。 また、昨年、機能性液晶フィルムの優れた技術を有する日出町の企業を地域牽引企業に選定しました。地元での雇用拡大などが期待されます。 また、観光業も、宿泊や飲食、物販、交通など裾野が広く、地域経済を支える重要な産業です。旅割などの需要喚起策により、さきほどの観光局長の答弁の中でもあったとおり、10月の日本人宿泊者数はコロナ禍前と同水準にまで回復してきました。日出町には、県内屈指の誘客力を誇るハーモニーランドのほか、別府湾に面した美しい自然や、日出藩以来の歴史、文化をいかしたひじはくを展開しています。デスティネーションキャンペーンに向けて、さらに観光素材の磨き上げを進めていきます。 引き続き日出町を始め、県内各地域の産業振興に向けて、各市町村とも連携した上でしっかりと取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 私からは、ハーモニーパークの今後の展開についてお答えします。 まず、ハーモニーランドについては、コロナ禍で入園者数が減少しているものの、ハローキティに会える数少ないテーマパークの一つとして、根強い人気を誇っています。 サンリオエンターテイメントでは、さらなる集客に向けて幅広い世代を対象としたイベント等を磨き上げながら、SDGsに造詣の深い小巻社長の主導で、環境教育につながるショーを行うなど、新たな価値の創造にも取り組んでいます。 一方、フリーゾーンでは、ハーモニーランドと調和の取れた大型複合遊具を県が新設したところ、利用者の増加につながっており、今後も家族で触れ合える憩いの空間を順次整備していきます。 課題の実証展示林については、その活用に向け、今年度新たに日出町や竹事業者、APU等とプロジェクトチームを結成しました。京都嵐山をイメージした竹林散策エリアや、竹細工等体験学習が可能なエリアなど、多面的な活用を深掘りして検討しています。 コロナ禍で高まる自然回帰の潮流を捉え、今後も知恵を出しながら、ハーモニーパーク全体の利活用と、デスティネーションキャンペーンを契機とした効果的な情報発信に取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 ありがとうございました。ハーモニーパークをめぐっては、今、土木建築部長からあったように様々な議論があるのは私も伺っています。例えば、キャンプやドッグラン、グランピング等ができる施設が整備されると夢が広がります。また、竹林もあることから、将来ビジョンに合った竹の利活用にも期待しています。ぜひ積極的な利活用の議論を進めていっていただきたいと思います。 日出町には、元気の良い企業がたくさん立地しています。こうした日出町における産業振興の評価について、ぜひ知事から一言いただきたいと思います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 今、議員がこれまで言われたように、日出町は別府、それから杵築に隣接する大変すばらしい住宅地として発展してきましたし、あわせて、大分県民が大変頼りにしている酒造メーカーもあります。それから、お話があったように、日本テキサス・インスツルメンツの伝統ではないかと思いますが、関連の電子機器産業、特に最近は半導体関連の企業、LSIクラスター形成推進会議のメンバーが大分市に次いで多く集積しています。 そういった日出町の状況を考えると、やはりこれからすばらしい住宅地として発展と加えて、そこにある企業としては、半導体関連の知識集約的な産業が発展しやすい状況にあるのではないかと思っています。現に、パルスオキシメーターの話ですが、あれなどは今度のコロナの中で大変活躍してくれたのですが、ああいうすばらしいものが半導体関係の企業の中から出てくるとか、あるいは液晶の非常に新しい技術を使った窓ガラスもできるとか、そういったものが出てくるということで、伝統をいかしながら随分いいものができているのではないかと思っています。 半導体関連の産業は、これから非常に多様に展開していく可能性があるので、そういったものを中心に集積があることは、日出町にとっては大変大きな資産を持っているのではないかと思います。こういったものをうまくいかしながら、特に県内には、さきほど話があったLSIクラスター形成推進会議や、あるいは東九州メディカルバレー構想のための企業間の協議会がありますから、そういったものと手を結んでしっかりやっていったらいいのではないかと大変期待しています。 ○御手洗吉生議長 三浦正臣君。 ◆三浦正臣議員 知事、ありがとうございました。今、知事の温かい御答弁をいただいて、日出町の方も多分喜んでいただいていると思います。本当にありがとうございました。 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で三浦正臣君の質問及び答弁は終わりました。二ノ宮健治君。  〔二ノ宮議員登壇〕(拍手) ◆二ノ宮健治議員 皆様おはようございます。27番、県民クラブの二ノ宮健治です。今回は県民クラブの皆さんに無理をお願いし、一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。広瀬知事が今期限りで勇退するという話を伺い、どうしても公の場でお礼を申し上げたかったからです。また、今日は多くの傍聴をしていただいている皆さん、コロナ禍であり、大変お忙しい中をありがとうございます。少し時間が下がり申し訳なく思っています。 早速質問に入りますが、知事、そして、執行部の皆さんよろしくお願いします。 まず、大分県版地方創生についてです。 私が県議に初当選したのは、2015年のことです。前年の12月27日に地方創生を実行するためのまち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。田舎に住む私は、地域の疲弊を肌で感じていたことから、ようやく国や県も地方を元気にする取組を始めたと歓喜したことを今思い出しています。 大分県においては、広瀬知事4期目の初年度の年でもあり、大分県長期総合計画2015の中では、時代の要請を踏まえ、分野施策として大分県版地方創生の加速前進がうたわれました。具体的には、少子高齢化・人口減少に正面から向き合い、減少カーブを緩やかにし、歯止めをかけて、地域の持続的な発展を目指すとあります。 早いもので計画策定から7年が経過しましたが、この間、私も地方創生、地方創生と機会あるごとに叫び続けてきましたが、本日は原点に返り、地方創生とは何か、そして、なぜ政府主導で進めなければならなかったかについて改めて整理してみます。 策定当初のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、大きく2点の戦略が示されました。一つは人口減少の解消、二つ目は東京一極集中の解消です。このことが解決されれば地方が創生する、地方が元気になり、日本の衰退を食い止めることができるとの説明だったと記憶しています。 大分県版地方創生においては、地方に人をつくり、人を育て、仕事をつくり、仕事を呼び、人と仕事の好循環で地域を活性化していくと分かりやすく整理され、大分県長期総合計画2015の中で具体的に施策化され、多くの取組がなされてきました。8年間にわたり広瀬知事の県政運営を共に考え行動できたことは、私の財産であり、誇りであると思っています。議員からの一般質問に対して真摯で積極的な解決に向けて取り組んでいただいたことも含め、県民の皆さん同様に、私からもこれまでの県政運営を高く評価したいと存じます。 ただ、政府が推進する地方創生が始動してから8年が経過しようとしているが、大きく日本の現状はどうでしょうか。地方創生戦略の肝である人口減少はさらに進み、東京一極集中も解消されず、地方の疲弊は加速するばかりです。頑張ってきた地方ではありますが、このまま現行の地方創生戦略を続けても、地方は衰えて消滅の危機に陥ることが私の中では現実味を帯びてきています。 2019年末から流行している新型コロナウイルスにより、思いがけず時代は転換点を迎えました。時代の変化を前向きに捉え、積極的に新たな施策を打ち出していくことが重要であると考えます。これからあらゆる課題を攻略し、さらなる地方創生を推進していくために、ぜひ広瀬県政8年間の地方創生の取組をどのように総括しているのか、お聞かせください。 以下は対面席から行います。  〔二ノ宮議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの二ノ宮健治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 二ノ宮健治議員から大分県版地方創生についてどう総括するかと、大変難しい御質問をいただきました。 私は知事就任以来、県民中心の県政の基本に立ち、安心・活力・発展の大分県づくりに全力を挙げてきました。時あたかも少子高齢化・人口減少が全国的に進行する中、平成27年度から国・地方挙げた地方創生の取組が始まったところです。どちらかというと、大分県は地方創生については国よりも先に手がけていたという自負があり、大分県としては、国が始めた地方創生、むしろ地方創生は大分県からという気概で取り組んできました。 大分県版地方創生は、次の三つを柱として推進してきました。 一つは、やはり人を大事にし、人を育てる取組です。子育て満足度、健康寿命、障がい者雇用率の三つの日本一に向けて、子育て満足度では、出会いサポートセンターや子ども医療費助成など、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援を拡充してきました。また、健康寿命は官民挙げて取り組んで、全国順位が男性1位、女性4位に躍進したところです。 二つは、仕事をつくり、仕事を呼ぶという取組です。地域の隅々にまで仕事をつくり出す農林水産業の構造改革や、事業者の99%を占める中小企業の支援、企業誘致、観光産業の振興等に力を入れました。また、時代の要請であるDX、デジタルトランスフォーメーションはもとより、地方から世界に通じる産業、サービスの創造のため、アバターやドローンなどの先端技術に加え、宇宙産業へも挑戦しています。 三つは、基盤を整え、地域を活性化する取組です。県土の強靱化とともに、本県の発展を支える九州の東の玄関口としての拠点化や中九州横断道路、中津日田道路など、広域交通ネットワークの充実も着々と進んでいます。 移住施策にも大いに力を入れて、平成26年度には僅か292人であった移住者が、コロナ禍で地方回帰の動きも追い風となり、令和3年度には過去最多の1,416人となったところです。 こうした移住施策を始め、これまでの地方創生の取組に加え、水際対策緩和による外国人の流入により、本年10月1日時点での人口推計では15年ぶりの社会増となりました。しかも、1,393人の転入超過は人口推計を開始した昭和56年以降では過去最多です。 一方で、自然減は歯止めがかからず、苦戦が続いていますが、今日の少子高齢化は、議員も御存じのとおり、言わば半世紀の長い年月をかけて形成された人口構成に起因しています。回復には相当な期間がかかるわけです。自然増、なかなか時間がかかって、自然減がしばらく続くと思います。さきほど言ったように、それを社会増で補いながら、人口減少を緩和しながらいくというのがしばらくやらなければならない戦略で、ようやくこの社会増についても1,393人の転入超過が実現できたということでして、だいぶ先が見えてきたのではないかなと思っています。 地方創生は大変長い道のりですが、少しずつ成果が上がってきており、我々の方向は間違っていなかったと考えています。 折しも本年6月、国においてデジタル田園都市国家構想基本方針が閣議決定されました。地方創生についても、デジタルトランスフォーメーションによる新たな変革の時代を迎えています。この潮流を的確に捉え、大分県版地方創生もDXで加速しながら、全力で進めていきます。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。少し角度を変えて再質問してみます。 この7年間、今、知事が言われたように、県や市町村は地方創生に向けた積極的な取組をしてきました。しかし、国の示した地方創生の肝である人口減少の解消、東京一極集中の解消は、その兆しさえ見えません。なぜ地方創生が進まなかったのか、私は次のように考えています。 国が示す地方創生戦略の基本的な考え方は、人口減少と地域経済縮小の克服です。この構造的な課題の解決に国が先頭に立ってやると思っていたのですが、いつの時代も日本を支えてきたのは地方であり、地方が自ら考え、責任を持って取り組むことが何よりも重要であるとして、都道府県及び市町村の前向きな姿勢を求めています。簡単に言えば、地方でやれと言っているのだと思っています。私はどのように考えても、人口減少の解消、東京一極集中の解消は地方が主体でできる課題ではなく、国家戦略でも難しいと思っています。この後の質問でも取り上げますが、地方は食料の供給基地の役割、そして、日本人の食料確保の観点からも、国家戦略としての価格保障制度の導入など、農業への手厚い保護により農業で生活できる環境を整えることから、農村から都市への人口流出に歯止めをかけ、都市から人を呼び込む唯一の方法だと考えています。 大分県でも工業化による都市部への一極集中が進んでいます。地方、農村を活性化するためには、国策としての農業への手厚い保護政策が必要と考えます。こうした地方創生をめぐる経過を鑑みるにつけ、国主導のこの地方創生は進まなかったと考えますが、知事の考えはどうでしょうか、再度質問します。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 議員御指摘のところは、よく分かるわけです。例えば、今、日本が一番地方創生の中で悩んでいるのは、少子高齢化・人口減少です。女性の出産を指標に取った子どもの合計特殊出生率というのがありますが、合計特殊出生率の高い地域は地方です。一番低いのは東京都です。一番高いのは沖縄県で、正に子どもを産み育てているのは地方だと思います。 高齢化率も一番高いのは、やっぱり地方です。これも大変名誉なことでして、地方はやっぱり高齢の方と共に暮らしながらお世話もさせていただいているということです。 したがって、少子高齢化で一番日本が取り組まなければならない、この問題について、やっぱり地方が一番大きな貢献をしているのは事実です。しかし、だから、国が主体でこういうことは取り組まなければいけないかというと、これまでこういった問題への取組は、正に中央集権、国が中心になって取り組んできたわけです。今度の問題は、地方が自ら元気を出していかなければならない問題だと。地方の問題として、地方が主体的に元気を出して取り組む、だから、名前も地方創生となっているのだと我々は理解しています。したがって、地方が、やっぱり地方のそれぞれの課題に対応しながら、そして、主体的に対応していく姿を、一番それがいいのだろうと考えています。 しかし、それでできるかというと、なかなか地方だけではできないと。例えば、大学は23区以内につくるなと、新たにつくるなといったような規制も一時やっていたわけですが、そうは言っても、やっぱり大学に地方から集まると。それから、23区がだめならば、東京都内の23区以外のところに大学をつくろうではないかということで、つくるなと言ったって、どうしてもやっぱり地方に大学はできないということになる。それはやっぱり大学をつくる人口が、若い人がいないと、あるいはまた大学をつくるだけの力がまだ地方にはないということになるわけですから、そういうことで、地方に力を付けないで、国がとにかく強制的にどんどん中央から人を排除するというやり方でやっても、なかなか元気は出ないなと。地方は地方でやっぱり力を付けながら創生して、元気を付けていく、活力を付けていくのが地方創生の真意ではないかなと思っています。 そのために必要な予算とかなんとか、もっともっとお金を付けて、もっともっと人員を知恵の面でも応援してくれるというようなことは必要かもしれませんが、やっぱり今度こそ国が、地方が責任を持ってどんどんやってくださいよと、何か国がお手伝いすることがあれば何でもやりますよという姿勢で本当はやってくれるとありがたいのではないかなと思っています。 問題の本質は、やっぱり東京都が解決策を持っているのではなくて、地方の連中が少子高齢化問題に対して、さきほど冒頭言ったようなことで、実態的には地方がやっていることも踏まえて、やっぱり地方主体でこれからやっていくのが大変大事ではないかと思っています。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。ちょっと知事と考え方は違いますが、今のような地方創生のやり方をしたら、間違いなく私は地方は消滅していくのではないかと心配しています。ヨーロッパの人口が増えた国、そういう施策をやっていかないと大変なことになるのではないかと思っています。 そういう中で、少し具体的に農業政策について大きく2点について質問します。 ちょっと長くなりますが、まず、食料自給率と農業の振興についてです。 今、世界人口の急激な増加や、世界中で頻発する干ばつや洪水などの異常気象で、食料が不足するとの懸念が高まっています。このため、気候変動や戦争などの不測の事態に備えて、食料確保のための危機管理を徹底する、いわゆる食料安保の取組が多くの国で強化されています。 食料を安定的に確保するためには、食料輸入国との友好関係を築くことが重要ですが、今回の新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略等で明らかになったのは、このような危機に遭遇すると世界中の食料価格が上昇し、さらに、自国民を守るために、小麦やトウモロコシなどを防衛的に輸出制限する国が増加し、ますます食料の確保が難しくなるということです。 日本の食料自給率は、ここ数年、カロリーベースでは37%前後で推移しているが、例えば、大豆は6%、小麦も15%の自給率しかなく、このような状況が深刻化すれば、日本の食卓から、みそやしょうゆ、うどんなどが姿を消す日が来るのではないかと心配しています。もちろん牛肉や牛乳、卵などについても、その他の食品についても同じようなことが言えます。 また、農業生産に必要な燃料、肥料、飼料の高騰が農家経営を直撃しています。特に深刻なのが化学肥料で、原料のリン酸アンモニウム、塩化カリウムが100%、尿素が96%を輸入に頼っています。来年以降、化学肥料が農家に供給できない状況になるのではと不安視する見方もあり、自給率97%の米にも影響が出ることが想定されます。 そもそも食料自給率が低いとなぜ悪いのか。もちろん食べるものが自前ではなくなることですが、これに加えて、日本の食料生産力が衰退していくからだと言われています。また、安価な輸入品の増加や肥料価格の高騰により農家がもうからなくなり、農家が減少し、農地が荒れるという悪循環を起こし、ついには農村が崩壊し、食料の生産基盤がなくなるという大きな危険性をはらんでおり、自給率の向上は重要な国家戦略として捉えるべき課題です。 前置きが長くなりましたが、そこで、知事にお聞きします。さきほど述べたように、食料の確保が困難になることや化学肥料が十分に供給できなくなることは、そう遠くない将来に必ず起こる問題であり、県としても県農業、県民の食料を守る観点からも重要な課題だと考えます。全国的には、飼料米への転換、堆肥肥料の見直し、牛の放牧推進など新たな取組、そして、一番重要な国産農産物の消費拡大、地産地消を促す取組も進められています。こうしたことを踏まえて、知事として本県の食料自給率をどのように捉え、また、本県の農業についてどのように振興していくのか、お聞きします。 次は米の生産・消費拡大の具体策として、ここでも2点質問します。 まず、米粉ですが、先日、中部振興局のお世話で、由布市の農政と総合政策の担当者と共に大分市野津原町にある米粉の製粉メーカー、ライスアルバ株式会社を訪ねました。少量の製粉でも受け付ける全国でも珍しい工場で、32ミクロンの微細粉の米粉を製粉でき、これまで難しいと言われていたパン用の米粉も製造できる画期的な工場でした。 現在、世界の小麦の供給が不安定になったため、価格が高騰しています。国産で一番自給率の高い米が代替品になれば、小麦アレルギー対策など、一石三鳥となることから、県を挙げて普及促進に取り組んでいただきたいと思います。 次に、なつほのかについてですが、本県の今年の水稲の作況指数は99と平年並みでした。北海道は106の良を見るに、これも地球温暖化の影響ではないかと心配しています。 その水稲の高温障がい対策として、今年から県の奨励認定品種として導入したなつほのかの作付けが本格的に始まりました。県内の作付面積は1,152ヘクタールで、初年度としては良い滑り出しだと思います。私も50アールの田になつほのかの作付けをしましたが、豊作と言える収量で、食味もおおむねヒノヒカリに劣らないおいしさと好評でした。茎も強く、もみもきれいで、作りやすい品種と思いましたが、課題は価格の安さとネームバリューの不足です。例えば、価格はJAおおいたの概算金単価一等米30キログラムで比較すると、ヒノヒカリが5,400円、つや姫が5,610円、なつほのかは5,160円で、3品種の中では断トツに安い価格です。もちろん初年度ですから仕方ない面もありますが、来年度以降、なつほのかを大分県の主要品種として勝負するなら、売り込み戦略が重要だと考えます。 そこで質問です。米粉利用における国の方針と現状について、そして、本県における米粉の利用状況と今後の普及促進の計画について伺います。 また、なつほのかについて、今年度どのようなPR活動を展開したのか、そして、来年度に向けた普及、売り込み戦略をどのように考えているのか、あわせて教えてください。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず、私から食料自給率と農業の振興についてお答えします。 食料自給率は、国民が国内外の多様な食材をそれぞれの嗜好から選び、消費する結果という側面もあるが、食料安定供給の中心は国内の生産でして、国も食料自給率の向上を基本政策に掲げています。それは議員御指摘のとおりです。 そうした中、大分県は生産額ベースの自給率が108%です。むしろ食料の供給サイドという立場にあります。国全体の自給率の向上にも寄与していることから、本県農業の振興に取り組んでいくことで、さらなる自給率向上に貢献ができると考えています。 また、昨今、ウクライナ情勢等を契機に、食料安全保障への関心が高まっています。食料安全保障にとって重要なことは、有事における食料供給の担い手や農地、水利施設などの生産基盤をいつでも利用できるように平時から確保することです。人手と農業生産基盤をちゃんとつくっておくということです。そのためにも、マーケットインを軸とした強い産地の育成など、これまでの政策を着実に進めていく必要があります。 まず、産地の育成に向けた基本方針としては、市場ニーズが高い園芸品目を中心に、就農や規模拡大への個別的な支援から、農地集積や畑地化、流通拠点の整備など、産地ベースの支援まで切れ目なく取り組んでいます。加えて、本年度の補正予算において、燃油や肥料等をめぐる情勢を見通して、施設園芸の省エネ化、耕畜連携の推進や自給飼料の増産などについて一層踏み込んで支援するなど、持続性の高い経営環境の実現を進めています。 このような取組は、県土の大部分を占める中山間地域における担い手の育成にもつなげていくことが重要です。このため、現在、農業総合戦略会議において、その中心的な担い手である集落営農法人と議論を重ねています。法人からは、持続的に農地を守るためにこそ、園芸品目の導入など、次の世代にバトンを渡せるような経営基盤の強化が必要といった意見を伺っており、今後は市町村とも連携し、持続可能な経営への転換を後押しします。 さらに、こうした担い手が存分に力を発揮できるように、効率的で生産性の高い農地や水利施設の整備にも取り組んでいきます。 先日、本格供用を開始した大蘇ダムの受益地で開催された土地改良振興大会に参加しました。会の中で、若い青年農業者からの発言ですが、いつでも水が使える、したがって、自分たち若い生産者が増えつつあるのだと。あるいはまた、規模を拡大し、もうかる農業を自分たちは目指したいといったような言葉がありました。大蘇ダムを整備した効果を実感し、本県農業がさらに発展できるのではないかと。農地を整備し、そして、もうかる農業の可能性を開いていけば、若い人も入ってくると実感した次第です。 現在、農業を取り巻く環境は厳しさを増しているが、これを乗り越えていくことで、成長への大きなアドバンテージが得られるチャンスでもあります。今後も成長、発展への意欲ある担い手と産地を後押しし、農業の成長産業化を図っていきたい。農業の成長産業化を図ることによって、やる気のある若者が入ってくる。そのことによって自給率の向上が図られることになるのではないかと思っています。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 米の生産、消費拡大についてお答えします。 国は需要が減少する主食用米の新しい用途での利用を促進しており、米粉用米の生産量も増加傾向にあります。令和3年度は4万1千トンとなっています。 本県では、パン用米粉を製造できる製粉会社があるので、主にパン用として学校給食等で利用されています。今後もこうした実需者ニーズに対応した推進を図っていきます。 次に、気候変化に対応できる品種として導入を進めていますなつほのかですが、食味の面でも生産者から高い評価をいただいています。県では、農業関係団体と共に販売促進等に取り組む協議会を設立し、CMや情報番組等での紹介、また、なつほのかのロゴマークを作成し、商品パッケージに掲示するなど、認知度向上に取り組んでいます。 初年度の価格は、認知度の影響もあり、つや姫の初年度と同じくヒノヒカリを下回りましたが、今後、販売促進や特A米の取組などを積極的に進めることで、認知度と単価の向上を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。質問項目が多いので、少し整理してみます。 まず、食料自給率と農業の振興について、今、知事から答弁いただきました。特に、米の代替品として、米粉の利用促進が食料自給率の向上につながるのではないかということの中、そういうことを含めて、農林水産部長に再度質問します。 大分県の令和2年度の食料自給率はカロリーベースで40%ですが、県農業を進める中で、食料自給率という考え方は少なく、農業算出額の引上げが中心となっています。今回の質問は、これまで以上に地産地消による農産物の県産物の消費拡大に取り組み、特に、米の消費拡大による食料自給率の引上げの提案です。 戦後、アメリカの余剰農産物の処理先として日本がターゲットになったと言われ、パンの学校給食などにより日本人の食生活が欧米化へと進み、米離れが年々加速しています。その反面、欧米では日本食の良さが評価され、特に小麦に含まれるグルテンによって様々な体調不良が引き起こされるグルテン不耐症が問題になり、小麦を中心とした食の見直しが始まっています。 この機会に、全国に先駆け、大分県から食料自給率を高め、米の消費拡大の観点から、米中心の食生活を推進し、米の消費拡大を図ってはいかがでしょうか。農林水産部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 米の消費拡大ということです。さきほど知事から答弁もありましたが、国民の方は、県民も含めて、何を食べるかはある程度本人たちの嗜好があって、その中で、食料自給率が現在37%、大分県は40%ですが、そうなっていると思います。ただ、やはり米についても、おいしいものを作るのは大変大事だと思っているので、本県においても、なつほのか、一昨年、令和2年が8ヘクタールで栽培を開始して、令和4年に1千ヘクタールを超えるということで、やはりおいしい米を作っていくのが米の消費拡大には大事なことだと考えています。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 おいしい米を作るのは当たり前です。が、今提案しているのは、その米がなかなか消費されないということなのです。だから、そういう中で、米粉の良さが見直されて、そういう動きになっている中で、やはり行政としても、そういうものを積極的に推進するべきではないかという提案です。 少し具体的に質問します。米粉の利用促進についてですが、この利用が伸びない要因の一つに、製粉料が大変高いことを感じています。これに対して、県の補助制度の導入ができないかを伺います。 それから、さきほど学校給食が出たのですが、まだまだ不十分です。それというのも、やはり製粉料が高い。30キログラムで9千円ぐらいかかるのですね、野津原に持っていくと。本当に米の消費拡大、まだ言えば米粉の良さを推進するのであれば、そういうところからやっていかなければならないのではないかと思っています。 それから、なつほのかについて4点お聞きします。 まず、なつほのかの名前を戦略的な名前に変えることができないのか。 それから、全国版になるには、やはり米食味ランキングで特Aが望ましいが、取れる可能性は。また、どのような評価で決まるのかをお聞きします。 このなつほのかは鹿児島県で生まれ、長崎県で特Aを取っている。全国的な評価は今どのようになっているかということ、それから、ふるなび等が行っているお米のふるさと納税返礼品ランキングでは、佐賀県、熊本県、長崎県のお米がずっと上位にランクされていますが、残念ながら大分県産は入っていません。県内市町村のふるさと納税返礼品に米を使用することで、消費拡大を広げていく取組が必要ではないかと考えますが、農林水産部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 まず、米の需要拡大での米粉の消費、それに向けての県の補助制度の検討はということだと思います。 米粉の製粉料金の低減につながる効率的な機械の導入については、県ではこれまでも農山漁村振興交付金などを活用し支援を行ってきたところです。さらに、実需者ニーズに応じた生産ができるように、米粉用米に対する水田活用の直接支払交付金、これを活用した生産面での支援も行っています。 こうした取組に加え、国の補正予算においても、今回、米粉の利用拡大支援対策事業が実施されることとなっているので、これらの活用についても実需者にしっかりとPRしていきます。 それから、なつほのかについて4点ほど御質問をいただきました。 一つが、名前を戦略的な名前に変えられないかということです。さきほど言ったとおり、なつほのかですね、今やっと本県においても拡大しているということで、今年は1千ヘクタールを超えると。来年度はもっと増やしていきたいと思っていますが、そういった中で、今あえて大分県独自で名前を付けて販売するよりも、やはり高温に強く食味もいいなつほのか、この特性をいかして、他県も含めてブランド化を図る方が、より効果的にブランドを確立することができるのではないかと考えています。 それから、食味ランキング、これで特Aを取る可能性についてですが、特Aなどの食味評価を行う日本穀物検定協会というところがあります。ここで炊飯した白米を外観、香り、味、粘りなど、六つの項目において基準米となるお米と対象産地の品種を比べ、専門家の方、約20人と聞いていますが、実際に食べてみて評価を行っています。 なつほのかについては、今回初出品となるため、ハードルは高いと考えていますが、特A獲得に向けて、これまで県内の篤農家やJA、それから、県の普及指導員、関係者が一丸となって品質向上に取り組んできたところなので、特A獲得に向けては厳しい審査になろうと思いますが、高い評価を受ける必要があります。動向を期待しています。 それから、なつほのかの全国的な評価ということですが、温暖化が進む中、高温に強い特徴を持つなつほのかについては、やはり九州においては重要な品種だと考えています。また、令和2年には長崎県産のなつほのかが特Aを取っているので、大分県もぜひ特Aを取れるように頑張って、九州全体での主力品種となると考えていますし、そのように頑張っていきます。 それから、ふるさと納税、これの県内市町村での採用、それから、消費拡大につなげる取組はということだと思います。 現在、津久見市と姫島村、この二つを除く16の市町でふるさと納税の返礼品にお米がなっています。そのうち、宇佐市、臼杵市、大分市、それから別府市では、なつほのかを返礼品として取扱いしています。 このように、県内の市町村においてもふるさと納税にお米を採用しています。ランキングについては、分析はなかなか難しいところはあるのですが、大分県の市町村、様々な魅力ある返礼品を御用意されているのも一因ではないかと思います。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。米粉、本当に魅力的なものだと思っています。なつほのかについても、本当にすばらしい品種だと思います。ぜひ力を入れていただきたいと思っています。 次に、中山間地域等における小学校の在り方についてお聞きします。 私は由布市の中山間地域に住んでいますが、母校である谷小学校校区を中心に、市単独の交付金事業による地方創生に向けた取組が行われています。この事業のコンセプトが谷小学校を複式学校、廃校にしないことと単純で分かりやすく、地域のハード整備やソフト事業を行い、魅力ある地域にすることにより、生徒数の増加、複式学級の解消、ひいては学校存続を目指しています。この好循環を地域につくっていきたいと、地域住民一体となって取り組んでいます。 地域、とりわけ中山間地域では小学校の存続が地域活性化の命綱であり、近くに学ぶ場所がない地域には人が集まりにくいのではないかと考えています。このようなことから、小学校の存続に向けた取組は、学校、行政、地域、地区民の地域に小学校が絶対に必要だとの熱意がなければ難しいと感じています。 学校基本調査によると、県内の小学校の複式学級数は2022年5月時点で101となっており、これは全国的にも決して少ない数字ではありません。また、廃校数にしても2002年から2020年までの間に廃校となった小学校は実に149校に上り、地域から学びの場が失われている様がうかがえます。 そこで、中山間地域の県内の小学校の複式学級校、廃校の現状を踏まえ、県としてこうした状況の解消に向けてどのように取り組んでいるのか、教育長に伺います。 また、課題等についてもあわせて伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 少子化により学校の小規模化が進むと、集団の中で切磋琢磨する機会の確保や社会性の育成など、教育上の諸課題が懸念されます。あくまでも児童等の教育条件改善の観点を中心に据えながら、地域の実情に応じて学校規模の適正化の検討がなされることが重要だと考えています。 統廃合を検討する場合には、御指摘にもあるとおり、学校が地域コミュニティの中で果たしてきた役割や意義を十分に踏まえ、保護者や地域住民の理解と協力を得て行うことが重要です。学校を存続する場合は、少人数指導など、小規模校のメリットをいかしながら、ICTの活用によってデメリットの緩和を図ることが考えられます。 そのような点を考慮しつつ、市町村立学校の統廃合については、設置者である市町村が自らの責任において判断し、決定するものですが、県教委としても必要な情報提供や助言などをしています。 また、複式学級への対応については、県単独教員を配置し、国の編制基準より手厚く複式の解消に取り組んでいます。 加えて、地方創生の観点から、地域と共にある学校づくりは重要であり、学校、家庭、地域の連携協働の推進にも取り組んでいます。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。2点について再質問します。 一つは、現行制度の中で小規模特認校制度があります。これが統廃合対象の学校を救う一つの方法だと言われていますが、県内の状況についてお聞きします。 全体として制度が有効活用されていないように感じていますが、課題等があれば教えてください。 2点目は、複式学級の設置基準が上下の学年を合わせて、国の基準では16人以下、県の基準では14人以下、市町村の基準では10人以下で複式学級になり、国の基準以下は県、市町村が加配教員を配置して実施しているのが現状です。 少子化の中で、この基準ラインの学校が多く、市町村の負担が増加しているのではないかと思っています。県の基準を12人以下に下げるべきだと考えますが、2点について、教育長よろしくお願いします。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 まず、最初の御質問ですが、いわゆる小規模特認校制度ですが、従来の通学区域は残したまま、特定の学校について当該市町村内のどこからでも就学を認める特認校制を小規模校において取り入れたものです。県内では10市20の小規模小中学校で実施されており、現在、小中合わせて約270人の児童生徒に適用されています。 課題としては、通学区域が広範囲になるので児童生徒の通学の負担が発生する、あるいは校区外から通学している子どもにとっては、自分の住んでいる地域での友人関係が希薄になりやすいなどが指摘されています。 それから、二つ目の基準の話ですが、しっかり実態を見た上で対応を検討したいと考えています。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。特認校は大変いい制度だと思いますが、なかなか成果が出ていません。うちの挾間町にとってみると、大規模が2校あって、小規模が2校あります。小規模は両方とも特認校を取っていますが、大規模に集中して、来年、また教室を増やさなければならないような状況なんですね。何かその辺の兼ね合いがうまくいくといいのですが、ぜひ県教委も力を貸していただきたいと思っています。 それから、さきほど谷小学校のことを言ったのですが、今から小規模校を解消するには、やはり教育委員会だけではなくて、行政としてこういう取組をしなければならないのではないかと思っています。そういうことで、この谷地域での取組を複式学級解消モデル地区として、県、市を挙げての取組ができないでしょうか、お願いします。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 地域の活性化、それから、地方創生といった観点からも、地域と共にある学校への転換が重要であると考えており、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進によって、学校、家庭、地域の連携協働の促進に取り組んでいます。例えば、このような体制を活用し、地域課題の解決に向けた取組を行うことで、子どもたちが地域社会の一員としての自覚や地域への愛着を持つことや、学校が地域の学びの場となるなど、地域づくりの核となり得る様々な効果が期待できると考えています。 御紹介いただいた谷地域での取組も参考にしながら、好事例の発信や地域コーディネーターの配置支援などを通じて、地域と共にある学校づくりを加速させていきます。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 すみません、事前に通告していなかったので、よろしくお願いします。 では最後に、県民の安全・安心について、まず、防災教育の普及についてです。 2018年第4回定例会で、県防災教育センターの設置について質問しました。知事からは、災害に対して自助、共助、公助の必要性、特に自助の力を身に付けておくことが大切で、県も9月の防災週間などで自助の意識の醸成を図っていくとの回答がありました。さらに、防災局長からは、疑似体験による防災教育が防災意識の醸成には有効であり、防災教育センター設置の促進という議員の意見も踏まえ、どのような方策があるか検討していくとの回答がありました。 この質問から4年しか経っていませんが、この間、2019年の台風第8号と8月の豪雨災害、2020年には1月の暴風災害、7月の豪雨災害、そして台風第10号、2021年には8月の大雨災害、今年になって台風第14号と、毎年のように大災害に見舞われています。気象予報士の花宮さんの、災害は忘れた頃でなく、忘れる暇なくやってくるとの言葉どおりとなっています。 そして、この間に死者、行方不明者は8人、重軽症の方も27人に上っており、改めて御冥福をお祈りします。この方々や関係者のつらい思いを無駄にしないためにも、県民の防災意識を向上させる取組の根本的な見直しが重要ではないかと考えています。 そこで質問です。これまでの防災意識向上の取組の成果と今後の課題について防災局長にお聞きします。 また、防災教育センター設置の可能性についてあわせてお聞かせください。 次に、大分川水系における治水対策についてです。 今年5月、大分川水系のうち、県が管理する挾間町鬼崎からの上流域を整備する大分川水系上流圏域河川整備計画が策定されました。さきにも触れましたが、大分川水系では、2020年7月の豪雨災害、今年の台風第14号災害で、死者5人を含む甚大でいたたまれない被害が発生し、現在も懸命に復旧、復興に取り組んでいただいています。 この計画では、特に災害の常襲地域を中心に、堤防の整備、河道掘削などの整備を行い、流下能力を確保して大分川上流域の治水安全度の向上を図るとあります。 今年の台風第14号では、災害の常襲地域であった小野屋商店街や同尻地域でも、濁流が堤防をオーバーする寸前でしたが、大きな被害を免れました。これは5月以降、早速危険地域の河道掘削などの応急工事を始めていただいた効果であり、深く感謝を申し上げます。 ただ、湯布院町宮川周辺流域では、今回も広い地域で床上浸水の被害が発生し、たび重なる被害に地域の人の悲痛な声を聞いています。 そこで、3点質問します。 まずは、湯布院町宮川周辺流域整備についてです。 この地域は地形的に被害常襲地域ですが、土砂の堆積、加えて外来種水草であるオオセキショウモの繁茂が流下能力を低下させており、被害が拡大しているとの声もあります。県もこのことは十分把握していると聞いていますが、河川拡幅など、抜本的な改修が急がれます。しかし、緊急措置として、堆積した土砂の撤去、オオセキショウモの除去、撲滅から始めていきたいと思いますが、土木建築部長の見解を伺います。 次に、大分川・大野川水系流域治水協議会が設置されていますが、その活動状況と、協議会が策定した流域治水プロジェクトの推進状況についてお示しください。 また、降雨時におけるダム管理は大変難しい問題で、判断を誤れば下流域に重大な被害が起きます。大分川水系に設置されている既存ダムの洪水調節機能強化に係る協議会の現状と、特に2020年7月の豪雨災害時にどのように機能したのかについてあわせてお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 岡本防災局長。 ◎岡本文雄防災局長 私から防災教育の普及についてお答えします。 県では、災害の恐ろしさや早期避難の重要性をより多くの方々に伝えるため、防災気象講演会や地震体験車などに加え、令和元年度からは災害の疑似体験ができるVR動画や啓発動画の制作、普及に取り組んでいます。これらの動画はユーチューブでも配信しており、現在の総視聴回数は110万回を超えています。 今後の課題は、人的被害ゼロを目指し、早期避難の定着に向けた取組の強化であると考えています。大分大学が実施した令和2年7月豪雨に関する実態調査では、避難のきっかけとして、自らの判断のほか、家族など他者からの声かけが有効であることが分かりました。そのため、おおいた防災アプリを改修し、避難スイッチをあらかじめ決めておくマイ・タイムライン作成機能や、遠方の家族から避難を促す家族グループ機能を今年度中に追加することとしています。また、高校生、大学生による効果的な啓発方法の検討や、減災シンポジウムでの提言発表など、若年層の防災教育にも取り組みます。 防災教育センターの設置については、一定の効果はあるものの、まずはこれらの取組を積極的に推進していきます。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 私からは大分川水系における治水対策について3点お答えします。 まず、1点目の宮川に繁茂したオオセキショウモについては、河川環境の悪化や流下阻害が懸念されるため、これまで県と地元の皆さんが協働しながら駆除を行っており、今年度完了見込みです。 なお、繁殖力が強いため、再繁茂の状況を今後も注視していきます。 また、宮川と大分川の合流点付近においては、堆積土砂の撤去も今年度予定しています。 2点目の流域治水協議会については、令和2年度に策定した流域治水プロジェクトの進捗管理を毎年行いながら、大分川を始めとした河川改修や由布市挾間町三船地区での田んぼダムの実証実験等、計画的に推進しています。 3点目の洪水調節機能協議会は、降雨予測に基づき、ダム管理者に事前放流を促すことを目的に、芹川ダムやななせダムなど、四つのダムについて2年度に治水協定を締結しています。 令和2年7月豪雨では、事前放流の基準雨量に達する前に、それぞれのダム管理者が治水に対する意識を持って貯水位をあらかじめ低下させたことにより、下流域の被害軽減に一定の効果があったと考えています。 水害が頻発化、激甚化する中、流域のあらゆる関係者がこのように能動的に取り組む流域治水を一層推進していきます。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。資料の裏面を御覧ください。これは知事の4期、5期の8年間に建設した公共施設です。建設にあたっては、本当にいつも財政状況を勘案しながら、県民ニーズも大切にして、私は全て必要不可欠な施設であると評価しています。 さきほど言ったように、そろそろ防災教育センターがくるのかなと期待していたのですが、今そうはなりませんでした。記憶が今薄れかけていますが、東北大震災のときに、宮城県の石巻市の旧大川小学校、それと同じく釜石小学校の差がずっと報道されました。残念なことに、大川小学校では児童の8割が亡くなりました。そして、釜石小学校ではほとんど被害がなかったということです。その中で、訓練の積み重ねやその地域の言い伝えに従ったからだと、身を守ることができるのだと言っていました。小さいときから災害に対して本当に身をもって経験する中で、やはり私は防災教育センターが必要だと思いますが、防災局長、いかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 岡本防災局長。 ◎岡本文雄防災局長 他県の防災教育センターを調査したところ、その多くが地震体験や図上訓練のほか、パネル展示、研修などの機能を有しています。 本県においては、センター機能と同様の防災教育を地震体験車による疑似体験、アドバイザー派遣による訓練、学習会の支援など、アウトリーチで展開しています。このため、さきほど言ったとおり、まずは現在の防災教育ツールや派遣制度、広報啓発活動などを積極的に展開し、県内全体の防災知識、意識の向上を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 今から恐らく計画されていくのではないかと思いますが、もしつくる場合は、財政的な面とか効果面から見て、消防学校の併設をぜひ検討しておいていただきたいと思っています。ちょいちょい行くのですが、あそこならいいなと思っています。 土木建築部長に聞きます。ダム管理は大変難しいのですが、さきほど言われたように、国の基準に基づいてやっているということで安心しました。 オオセキショウモですが、完了予定だと話を今聞きましたが、そこの資料にも載っているように、特に大分川と宮川の合流点はものすごいのですよ。だから、今確かにゆふいん豊水会の皆さんが除去して、在来種ができているとも聞いていますが、まだまだだと私は思っています。しかし、宮川の合流点等の土石流というか、土砂等をのけていただけるということで、ぜひ早急にお願いします。本当に3年間に2度も床上浸水になっているのですよ。この間、現地に行ったのですが、20人ぐらいの人が集まって、何とかしてくれということでした。ぜひこのことについてお願いします。 まだ時間があるのですが、だいぶ下がりました。広瀬知事、まだ4か月ありますが、私にとっては今回が最後の公での質問になるので、最後にお礼の言葉を贈らせていただきたいと思っています。 先日、由布市の保健師と由布市議の皆さんと雑談していました。突然、保健師が皆さん何歳まで生きたいですかとの質問をされました。それぞれに85歳、90歳、95歳と答えていましたが、私は100歳と答えました。二ノ宮さん、すばらしいと変なところで褒められ、保健師さんいわく、人間はその思いをいつも口に出していれば、それに近い年まで元気で生きられるとのことでした。広瀬知事、もしこのように聞かれたら、ぜひ105歳までと答え、これからもお元気で末永く大分県政に御助言をお願いします。 少し長くなったのですが、私の質問をこれで終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で二ノ宮健治君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時47分 休憩  -------------------------------     午後1時46分再開 ○古手川正治副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。大友栄二君。  〔大友議員登壇〕(拍手) ◆大友栄二議員 11番、自由民主党、大友栄二です。今回も質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝し、早速、質問に入ります。 先端技術の活用についてです。 令和2年1月に新型コロナウイルスが確認され、世界中に影響を及ぼしながら、はや3年が経過しようとしています。この間、感染拡大の防止のために海外との往来が減り、経済活動も世界で大きく制限されてきました。コロナ禍の経済的な影響は非常に大きく、また最近はウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰がさらなる追い打ちをかけ、経済を取り巻く環境は大きな変革のときを迎えています。 そうした中でも、コロナ禍以前から広瀬県政では産業の活力を向上させるため、ものづくり分野を始めとした様々な挑戦を進めてきました。 産学官が共同して、医療分野に加え看護・介護・福祉分野も含めた医療関連機器産業の集積を図るため、東九州メディカルバレー構想を宮崎県と連携して取り組んできたほか、コンビナートや半導体、自動車の関連企業も集積させる取組を進めてきました。 加えて近年、特に力を入れてきたのが先端技術への挑戦です。ICTなどとともに様々な先端技術が創り出され、世の中のありようまで変えようとしています。本県でも先端技術が多方面の地域課題の解決に活用され、またその過程で先端技術を中核とする新しいビジネスも生まれてきています。ドローンやアバターなど、これまでにはなかった技術を活用し様々な実験はもちろんのこと、ビジネス化に向け県内企業の取組を支援してきました。 また、宇宙港として大分空港から航空機を使用して人工衛星を打ち上げることとしており、それを契機に衛星データの活用など宇宙産業へも挑戦を進めています。 このほかにも脱炭素社会に向けては、グリーンエネルギーの開発や活用が求められており、こういった分野にも先端技術の導入が進められています。 今後は経済活動も再活性化していく中で、この先端技術への挑戦を加速化させ、それらを商業ベースに乗せ、強靱な県経済を構築していく必要があります。 特に、AIやロボットなど目覚ましい発展を遂げている技術分野にも目を向け、新たな産業の芽を育てていく必要があると考えます。 そこで伺います。これまでの先端技術への挑戦に対する様々な施策をどう評価し、今後さらなる新産業の創出に向けどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。 以下は対面席より質問します。  〔大友議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○古手川正治副議長 ただいまの大友栄二君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 大友栄二議員からは、先端技術による新産業の創出について御質問いただきました。 先端技術への挑戦においては、ドローンやアバター、AIなど、発展著しい先端技術を活用し地域課題の解決を図るとともに、これをシーズに新産業をつくり出していく視点が大変重要だと思っています。 本県では、これまで様々な分野で積極的に取組を進めてきた結果、他県に先駆けるような事例も生まれており、今後の全国的なビジネス展開が期待されています。 例えば、県は民間企業と共同してドローンの飛行性能を評価できるドローンアナライザーを開発しました。本日からドローンの機体認証制度が始まりましたが、今後、この制度に合致した性能試験手法を確立し、実績を重ねることで、ドローン産業の拠点化につながるものと期待しています。 遠隔操作ロボットアバターでは、避難所や遠隔授業などアバターの活用事例も増えており、昨年、アバタービジネスを手掛ける企業から、アバターの製造パートナーとして県内企業が選ばれ、量産が開始されています。 AIについては、例えば、従業員の高齢化が進む食品加工工場で、県内企業3社が得意分野で連携し、目視による異物混入の検査の代わりに、AI技術を活用した自動判別装置を開発するなど、ビジネス化が進んでいます。 防災・減災の分野では、地場企業と大分大学、世界的なIT企業が開発を進めてきた、防災・減災のための災害情報活用プラットフォームEDiSON(エジソン)の本格運用が始まりました。本県の防災対策にはもちろん、民間企業の防災力向上への活用も始まっています。 さらに、次なるフロンティアにおける新産業の創出にも積極的に取り組んでいます。 重要度が増すカーボンニュートラルに向けて、様々なチャレンジが県下に沸き起こっています。例えば、九重町では豊富な地熱等を活用したグリーン水素の製造実証が進展しています。貯蔵、運搬から利活用に至る、大分県版水素サプライチェーンの構築が期待されます。 世界的に伸びゆく宇宙産業では、衛星データを活用した農作物の育成状況の分析など、県内でも取組事例が増えてきました。アジア初となる水平型宇宙港の実現に向けた取組とともに、宇宙港を核とした関連産業の創出への可能性が広がっています。 活力ある大分県づくりには、引き続き先端技術に果敢に挑戦し、新たな産業を持続的に創出し、集積させていくことが重要です。 そのために、先端技術活用の普及、啓発を行うとともに、県内企業による先端技術を活用したプロジェクトの事業化を支援するなど、これからも県内企業の挑戦を切れ目なく応援していきます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 様々な取組を行っていただいていますが、今日は先端技術の中でもいくつかピックアップして伺います。 まずは、今後到来するであろう未来のWebの世界への備えということで、Web3.0への対応について伺います。 世界から遅れを取っている感が拭えない我が国のデジタル技術の活用の取組ですが、昨年9月にデジタル庁が新設され、デジタル田園都市構想を始めとしたDXの推進、次世代のインターネットと呼ばれるWeb3.0への対応が急がれています。今年6月7日に閣議決定したデジタル社会の実現に向けた重点計画等において、NFTなどの技術を用いたデジタル資産の法的位置付けの明確化や特定プラットフォームに依存しない本人確認・資格証明の利用環境整備などを重点政策とし、ブロックチェーン技術を基盤とするNFTの利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備が盛り込まれたことを踏まえ、デジタル庁にはWeb3.0研究会も設置されました。 有識者会議であるWeb3.0研究会も既に数回の会合が開催されており、関係府省庁も施策や対応の検討を進めていますが、地方自治体においても仙台市が政府に仮想通貨の課税緩和などのWeb3.0規制改革案を提出するなど、その対応が進みつつあります。 Webの世界は通信速度の高速化に伴い、現在、Web3.0と言われる時代に突入し、新たな世界が広がろうとしています。Web1.0とはメールやインターネットが始まった時代、Web2.0ではEコマースやSNSから拡大し、4Gのインターネット接続が可能となったことで多種多様なものからデータを集めるIoT、大量データを解析するAI、決済手段の多様化といった用途にまで発展し現在に至っています。ここまではいわゆるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)といったIT大手企業に管理されてきたネットワークの世界であり、中央集権型であったのに対し、これから広がるWeb3.0の世界はブロックチェーン技術の発展により分散型、非中央集権型へと移行すると言われています。 現在、Web3.0の世界でよく耳にするものは仮想通貨やNFT、メタバースといったものがありますが、自治体においても活用が進んでいる事例もあります。NFTにおいては、大阪府泉佐野市のふるさと納税返礼品へのNFTの採用、北海道の観光×NFTの実証実験、兵庫県尼崎市の非公認御当地キャラクターのNFTへの参戦等が挙げられ、地方創生に関する活用が進められています。メタバースについては、天草メタバース計画、バーチャルOKINAWA等、県産品のメタバース上での販売等が挙げられます。 本県においてはいち早くアバター活用の実証実験等を行い、デジタル技術を活用した取組を行っていますが、デジタルサービスは新しい付加価値を生み出す源泉であり、地方が直面する少子高齢化や過疎化といった課題を解決するための鍵でもあります。 こうしたことを踏まえ、新たな付加価値の創出に向け、本県としてNFTやメタバースなど、Web3.0を始めとした新たなデジタル技術活用の取組をどのように進めていくのか、商工観光労働部長に伺います。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 Web3.0は、データ保有の分散などを通じて従来のインターネットの在り方を変え、社会変革につながる可能性を有しているものと認識しています。既に、ブロックチェーンを基盤とした暗号資産、NFTやメタバースなどのデジタル技術を活用して、経済社会の中核を成す金融、資産・取引、組織などにおいて、新たなサービスがグローバルに広がっています。 Web3.0の普及に伴い、メタバースの世界市場は2030年に6,788億ドルと10年間で17倍になると予想されており、新たな成長市場と期待されています。 国は、新しいデジタル技術を社会課題解決のためのツールにするとともに、経済成長につなげるという基本的な考えの下で、Web3.0推進の環境整備などの検討を開始しています。Web3.0の未来像を描きながら、暗号資産、メタバースなどの便益やリスク、社会への影響などについて議論が重ねられているものと承知しています。 本県でも、県内学生が仮想空間で国際宇宙ステーションを体験できるTHE ISS METAVERSE in 大分というイベントを本年9月に開催するなど、人材育成などの分野で活用や検討を進めています。 今後も国の動向なども注視し、様々な分野での活用や地域課題解決の可能性を検証していきます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 今後、対応、対策を進めていく場合、アドバイザーとしての専門家や有識者を招くことはもちろん、県の関係部署内の担当者の教育、育成が必要だと思われますが、その計画、準備等はあるのか伺います。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 本県では現在、AIやICTに精通した専門家を戦略アドバイザーとして委嘱し、県施策に関する支援や助言をいただいています。また、庁内全部局に担当を任命した上で、庁内先端技術ワーキンググループを設置し、戦略アドバイザーなどからの先端技術に関する情報を随時共有しています。 デジタル技術の進歩は目覚ましく、常に最新動向を捉えておくことが重要であり、引き続き有識者の力も借りながら、庁内担当者の育成に努めます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。この分野は、ようやく国でも動き始めた分野であるので、まだまだ認知度も低いし、この分野以外にもDXの推進とか通信環境の整備とか、先に取り組まなければいけないものが山積していると感じています。 実はまだまだ私も理解し切れていない部分も多いのですが、上京した際に国会議員との意見交換会とか講習会とかいろいろ受けている際に、これらのワードを耳にすることが増えてきたので、ぜひとも本県においても活用を検討すべきではと感じて質問に取り上げました。 まだまだ事例の少ない分野ですが、いずれ到来するであろうものに対する認識と準備はしっかりと進めていただいて、先端技術への挑戦を掲げる本県が先進県となって取組を進めていただくようにお願いします。 続いて、ドローン物流の社会実装について質問します。 さきほどは次世代の先端技術に関する質問をしましたが、次に本県が掲げる先端技術の活用の中で現在取組が進められているドローン技術の活用について伺います。 ドローン技術が一般的となった昨今、様々な分野でドローンが活用されています。災害時や土木現場での調査、農薬散布などでの活用はもちろん、個人でもトイドローンなどで空撮を楽しんだり、ドローンサッカーのように遊びとしても活用されています。これまで規制が曖昧だった部分も多かったのですが、本年6月から重量100グラム以上の機体が無人航空機の扱いに変わり、飛行許可承認申請手続を含む、航空法の規制対象になることなど様々な対応が進められています。 本県においてはいち早くドローン技術に着目し、実社会の中で一歩進んだ活用方法を模索し、多くの実証実験を重ねてきました。ドローンを活用した物流については、平成29年度に全国初の取組として10キログラムの重量物を山越えで配送し、以降2点間のドローン定期便や離島への長距離海上配送を始め、最近では各地域で企業と連携しながら社会実装に向けて取り組むなど、実現すれば物流の利便性が大きく向上すると期待が膨らみます。しかしながら、あくまで期間や費用負担等のスキームを限定したいわゆる実証実験の要素が強く、社会実装化される見通しが見えてこないのが現状です。当然、実証実験の中で多くの課題が挙げられ、課題解決に向け歩みを続けているところだと思いますが、現在挙げられている成果や課題、そして、それらを解決し、社会実装できるまでの見通しについて、商工観光労働部長に伺います。
    ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 本県では産業振興と地域課題の解決のため、全国に先駆けて産学官連携の大分県ドローン協議会を設立するなど、ドローンの活用を推進しており、県内関連事業者の売上げも着実に増加しています。 ドローン物流については、津久見市無垢島での離島物流や、日田市中津江村での救援物資配送など、地域住民と一体となった先駆的な実証実験を実施してきたところです。 その結果、県内事業者の機体開発などの技術力向上、安全飛行などの運航ノウハウの蓄積、県内外の事業者間のネットワーク構築、県民のドローンに関する知識の向上や理解の促進につながったものと考えています。 一方で、社会実装に向けては、地域内で運航体制を構築できる事業者の育成や、採算性が確保できるビジネスモデルの創出が課題となっています。 このため、本年度、杵築市の関係者などで運航体制を構築した上で、年明けには、観光名所に特産品を配送する観光客向けの高付加価値なドローンサービスなどを実施し、採算性を確保した持続的なサービス提供が可能かを踏み込んで検証する計画です。 これは令和6年度中にビジネスモデルや運航体制を確立することを目標にしており、課題を一つずつ克服しながら、ドローン物流の社会実装を進めていきます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。目視せずに自動で飛ばせるようにする改正航空法は、本日より施行されるということです。あと、免許の交付等も来年3月頃には始まる見通しであり、いち早く実証実験を重ねている本県なので、社会実装し、本格的な運用も本県が先駆け、特に過疎地域の物流を助けていただきたいと思っています。 一つ関連して、オペレーターの育成の件で伺いますが、農業や土木等の分野でドローンのオペレーターを育成するのに講習費用が結構かかると伺っています。これはドローンスクールやメーカーが講習を開催するパターンが多いと思いますが、ドローンの機材が新しくなったら新たに講習を受けなければいけなくて、またそれにも講習費用がかかるということで、非常に費用がかさむとも伺っています。 ドローンのオペレーターの育成について、そのサポートとか、あと、行政としてオペレーターの育成に取り組むことはできないのか、商工観光労働部長に再度伺います。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 ドローンオペレーターの講習は民間の機関で実施されており、その費用はドローンの使用目的や日数によって機関ごとで異なるものと承知しています。 県としては、オペレーターの講習費用の助成は実施していませんが、大分県ドローン協議会を通じて人材育成に努めています。具体的には、ドローン産業の最新動向や技術活用事例を紹介するセミナーを開催するなど、オペレーターも含めたドローン事業者全体を支援しています。また、高校への出前講座で高校生の操縦体験も行っています。 引き続き、県内のドローン産業の振興のため、各種施策に取り組んでいきたいと考えています。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 オペレーターの育成がドローンの普及をまた加速化させるし、事業者の育成、そして関係者、技術者が増えていくことが社会実装も早めていくのではないかと思っています。ぜひとも引き続き前向きに御検討いただきたいと思います。 続いて、道路保全におけるICTの活用についてです。 土木の分野においてもAIによる交通量調査やドローンによる施設点検など先端技術の活用が進められています。ここでは道路の維持管理について、現在活用が進んでいる技術であるアプリを使って県民の皆さんの気付きをさらに反映できないかという思いで質問します。 通常、道路に関する異常の発見は、道路パトロールによる発見だけではなく、県民の皆さんからの通報で発見されるケースも少なくありません。県民の方が異常を発見したり、改修の要望を伝えたいと思った際は、まずはその道路、又は関係するものの管轄がどこなのかを調べ、連絡する必要があります。例えば、道路には信号機や横断歩道といった警察の管轄であり、土木の管轄ではないものもあります。国、県、市、県警等といった管轄を特定して連絡を入れ、担当課の担当者に行き着くまでにかなりの時間を要したという声も聞かれます。先日、知人のSNSに同様の内容の投稿がされ、それに対する反応のコメントが多く寄せられていました。皆さんが口をそろえて言っていたのは、ややこしい、連絡してもたらい回しにされたという内容でした。 平成30年第3回定例会においてICTを活用した道路の保守について質問した際に、中津市や別府市が運用しているフィックスマイストリートというアプリの話をしましたが、このアプリを例に挙げ、全県で統一して運用してほしいという声も聞かれます。 現在、道路の異常は国交省管理の道路緊急ダイヤル♯9910や、大分市であると穴ぼこ110番、県であるとサイトにおいて事例ケースを挙げたQ&A形式の一覧を掲載しています。これが県民の皆さんには少し分かりづらいようで、デジタル化や窓口の一元化をしてほしいという声が多数聞かれました。 縦割り行政の弊害は土木分野に限らないとは思いますが、まず県民目線に立ちワンストップの窓口対応を行うこと、気軽に通報が行えるアプリの活用を推進することが必要であると考えます。アプリの活用を含め、道路保全におけるICTの活用について、土木建築部長の考えをお聞かせください。 ○古手川正治副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 道路の異常や要望等の通報は、国が全国一括で24時間受け付ける道路緊急ダイヤル♯9910や直接の電話、メール等により、県管理道路で年間約3千件寄せられています。 通報を受け、土木事務所の職員はワンアワーワンデーレンポンスの理念に基づき--これは通報を受けてから1時間以内に現場に駆けつけ、1日以内に対応方針をお伝えするといった土木建築部の行動指針ですが、この理念に基づき行動するとともに、所管外の通報についても関係機関へ速やかに取り次ぐなど、丁寧に対応するよう努力しています。 近年、インフラの老朽化が進行する中、こうした道路の保全業務を効率的に進める上で、ICTを活用することは極めて有効と考えています。 このため県では、スマホやドローンを活用した損傷の把握に加え、通報された情報をリアルタイムで関係者と共有するキントーンと呼ばれるツールの導入に向け、今年度から試行に着手しました。 議員御指摘のアプリを活用した通報システムは、県内では5市が、また、全国の都道府県では8都府県が導入している状況です。 こうした中、国が♯9910に代わる、LINEを活用したスマホからの通報システムの開発に今年度新たに着手しており、その動向について情報収集に努めています。 今後とも、ICTを活用しながら、現場主義に基づき適切な道路保全に努めます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。土木の方ではしっかり対応していただいているということですが、担当によって快く受けてくれたりとか受けてくれないパターンがあるようで、担当者によって対応が違うということは県民目線とは言えないので、県民の目線に立った際に、窓口の一元化、また利便性を考えたときにDX化、これはしっかりと進めていただきたいと思いますし、いろんなことが前に進んでいるなと今の答弁を聞いて感じました。 あと、管理職員の減少という環境の中で、道路パトロール支援サービスが平成29年から導入されていますが、現在の状況とその効果について、土木建築部長に伺います。 ○古手川正治副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 御指摘の道路パトロール支援サービスは、スマートフォンのGPSや加速度センサーを活用して路面の凹凸を感知し、劣化状況を可視化するシステムです。土木事務所のパトロール車にスマートフォンを装着することにより、パトロールの際に道路の縦断方向の凹凸を自動的に把握することができることから、補修が必要な箇所を客観的に選定することに役立てています。 また、当システムの運用により、パトロール時に発見した道路の異常箇所等の位置情報と写真を事務所にいる職員とリアルタイムで共有することが可能となりました。迅速な意思決定や対応にも寄与しているほか、パトロール日誌も自動で作成できるなど、保全業務の省力化も図られています。 引き続き、社会資本整備や維持管理における様々な場面でICTの活用を積極的に進めながら、県民サービスの向上に努めます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。お願いします。 今、カタールでサッカーのワールドカップが行われていますが、そのサッカーの中でもVARとか、ボールにチップを埋め込んでラインを出たか出ていないかとか判定するような、そういう先端技術が使われているようです。スポーツの世界でも先端技術が活用されている時代なので、人口減少が進む中で、地域課題の解決にも先端技術をフル活用していただいて、ぜひ積極的な活用をお願いします。 続いて、全国育樹祭による林業振興について伺います。 昭和33年に、別府市で第9回全国植樹祭が開催されました。当時は、戦後からの復興に要した後の森林資源の確保や災害防止をテーマとして、天皇皇后両陛下により杉がお手植えされました。 昭和52年には、継続して森を守り育てることの大切さを普及啓発するため、全国で最初となる第1回全国育樹祭が本県で開催され、皇太子同妃両殿下により、お手植えされた杉への施肥や記念行事が行われました。 この全国植樹祭及び全国育樹祭による機運の高まりもあり、原野などへの植栽や森林整備が積極的に展開され、現在では杉を中心とした豊富な森林資源が成熟し、活用の時期を迎えています。 そのような中、先月に本県では2回目となる第45回全国育樹祭が「豊かなおおいた森林(もり)を育み木と暮らし」を大会テーマとして開催されました。 11月12日には、第51回全国植樹祭の開催地である大分県県民の森・平成森林公園で、皇嗣同妃両殿下による枝打ちなどのお手入れや、参加者による育樹活動が行われ、13日には、昭和電工武道スポーツセンターで、式典行事として、緑の少年団による活動発表や、森林に関するアトラクションなど、盛会のうちに終了しました。 式典では、皇嗣殿下より、本大会を一つの契機として、豊かな森林を育む心がさらに広がり、森林からの恩恵である木材を暮らしの中にいかす木の文化が、大分の地から全国へと展開していくことを祈念しますというお言葉や、次代を担う子どもたちの非常に頼もしい取組などを聞くことができました。また、記念行事として、森林・林業・環境機械展示実演会や森林フェスなどが開催され、県内外から多くの方が来場されたと聞いています。 今回の全国育樹祭は、豊かな森林を有し、林業の先進県である当県の取組や魅力を全国に広くアピールし、これまでの広瀬県政で推し進めてきた森林・林業施策の結集した、大変すばらしい大会であったと思います。知事を始め、関係された皆様方の御尽力に、心より敬意を表します。 植樹祭、育樹祭と続く一連の大会は、先人により植え、育てられてきた森林が、長い期間を経て、バトンタッチされ、新たな森づくりや林業がスタートを切るという流れを象徴するものであり、そういった意味でも、今回の全国育樹祭を一過性のものとせず、理念や成果を着実に継承し、いかしていくことが重要です。 そこで、第45回全国育樹祭の成果についてどのように捉え、今後の森づくりを始めとした林業振興にどのようにいかし進めていくのか、知事に伺います。 ○古手川正治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 全国育樹祭ですが、お陰様で大変意義深い、いい祭りができたと思っています。秋篠宮皇嗣同妃両殿下に御臨席いただき、先月開催しました。お手入れ行事や式典行事のほか、多くの関連行事等を通じて、その理念を県内はもとより全国の皆様に発信できたと思っています。 特に、緑の少年団や高校生など、県内の多くの子どもたちに活躍の場を設けたことや、林業のイメージアップ、木材利用の重要性などをPRしたことで、森林づくりの輪が大きな広がりを見せたのではないかと思っています。 この成果を今後の林業振興にいかしていくことは大変大事だと思いますが、私どもは次の2点が重要だと思っています。 一つは、伐って使い、植えて育てるといった脱炭素社会の実現に向けた循環型林業の確立です。 戦後植栽された県内の杉、ヒノキの森林資源は19万ヘクタールに上り、そのうち60%が45年生を超えており、利用期を迎えています。 この充実した資源を伐採、活用し、再び植えて育てることで、多様な林齢からなる森林を作っていきます。 そのため、大径化した高齢林を積極的に伐採するとともに、その後の植栽には成長の早いエリートツリーやコウヨウザンなどの早生樹を導入し、資源の若返りを図っています。 大径材の加工に必要な製材機等の整備や、消費拡大に向けた非住宅建築物の木造化、内装木質化を進めるとともに、大消費地である関東・東海地域等に拠点を設け、木材利用のさらなる拡大に向けた取組を進めていきます。 二つ目は、循環型林業を支える担い手の確保・育成です。 今大会で両殿下に御視察いただいたおおいた林業アカデミーの充実や、作業現場での機械化、ICT化を促進することなどで、林業の担い手の拡大を図っていきます。 また、将来にわたって林業が持続的に発展していくためには、森林を育む豊かな心を持った子どもたちの育成が大変大事だと思っています。 今大会での多くの子どもたちの頼もしい姿を目の当たりにして、次代の森林づくりに向けた取組が着実に芽吹き育っていることを実感しました。 この芽吹きをさらに広げ、継続させるため、今後は、緑の少年団への支援を強化するとともに、教育機関と連携し、小中学校などでの森林・林業教育を充実させていきます。 早速、玖珠町をモデル町として、全ての小中学校での実施に向けた取組を進めています。 このように第45回全国育樹祭の成果を継承し、今後の林業振興にいかすことで、大分の豊かな森林とその恵みを次の世代につなげていきたいと考えています。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 知事、ありがとうございます。私も式典に出席しましたが、本県の特色とか文化とかがしっかりと出された、大変すばらしい大会、式典だったと感じています。 中でも、今、知事の答弁にもありましたが、私の地元、中津市の三郷小学校の緑の少年団の取組の発表もありましたし、多くの子どもたちが式典に関わっていました。そういう若者とか子どもたちが森林について学んだり、触れたり、そういう機会をどんどん増やしていくことが大切だと感じましたし、担い手の確保も大切ですし、そういうことが森林づくりの輪が大きく広がりを見せたと知事が言われていることかなと思っています。 ぜひともこの育樹祭の機運を単なるイベントだけではなくて、レガシーとして継承していけるような今後の取組に期待しています。 それでは、観光・地域振興で、インバウンド復活に向けた取組について伺います。 10月11日から新型コロナウイルス感染症の水際対策が大幅に緩和され、1日当たり5万人としていた入国者数の上限が撤廃されました。また、ツアー以外の個人の外国人観光客もおよそ2年半ぶりに入国を解禁し、アメリカや韓国、イギリスなど、68の国や地域から観光で訪れる短期滞在者のビザを免除する措置も再開されています。 それに加えて、ここ数か月の間に円安が進んだことも追い風となり、日本を訪れる外国人観光客は急速に回復しており、テレビなどを通して、東京浅草の雷門や京都の嵐山を訪れる外国人観光客の姿を目にする機会も増えてきました。県内においても、外国人観光客と思われる人を目にする機会が少しではありますが増えてきたと感じています。 私の地元、中津市ではアメリカから移住された夫婦との縁で、外国人向けスポーツツーリズムを手掛ける会社が、アメリカ・ハワイ州から招いた外国人観光客を対象としたサイクリングツアーを開催しました。参加者は自転車で中津城を出発し、本耶馬渓の青の洞門や羅漢寺、安心院の鏝絵が並ぶ通りを走るなど、県内の様々な観光地を巡り大分の魅力を堪能したそうです。 また、外国人観光客を呼び込む取組として、10月にはシンガポールの旅行会社が中津市の観光地へ視察に訪れています。こちらも耶馬溪から本耶馬渓までの道のりを美しい自然を楽しみながらサイクリングを体験しています。参加者からは、シンガポールには自然が少ないので、早速売り込みたいとの声が聞かれたようです。さらに、中津、宇佐、豊後高田3市などでつくる協議会は、台湾出身のインフルエンサーに県北3市の観光名所を巡ってもらい、動画での紹介により台湾などからの訪問者数増加につなげる取組を行っています。このような取組を継続し、日本を訪れる外国人観光客から、訪問先として本県を選んでもらうことがとても重要だと考えます。 10月に観光庁が公表した訪日外国人消費動向調査、2022年7月から9月期の全国調査結果(試算値)によると、訪日外国人の一人当たりの旅行支出は31万3千円と試算されています。このことからも、本県を訪れる外国人観光客が増えることは、観光産業のみならず、県経済の回復にとっても大変重要なことだと考えます。インバウンド復活に向け、外国人観光客に本県を選んでもらうため、今後どのように取組を進めていくのか、観光局長の考えをお聞かせください。 ○古手川正治副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 10月の外国人宿泊客数は、コロナ禍以降初めて1万人を超え、9月と比べても3.8倍と大きく伸びたところです。この回復の兆しを確実なものとするため、取組をさらに加速させていきます。 一つは、コロナ禍前、外国人観光客の約8割を占めた東アジアのリピーター層の復活です。今月7日から県内観光事業者と連携して開催する台湾3都市での本県単独商談会には、200社を超える現地旅行会社の参加申込みがあり、本県への旅行機運は確実に高まっています。来年2月には韓国で同様の商談会を行うほか、現地企業の報奨旅行等の誘致も強化して、東アジアからの誘客の早期回復を目指していきます。 二つは、高い観光消費が期待される欧米等からの新たなインバウンドの獲得です。先月参加した英国の旅行博では、竹細工や耶馬溪のサイクリングなど、体験型観光への関心の高さを実感したところです。 2025年大阪・関西万博も見据え、地域の伝統文化や自然などを体験できる高付加価値コンテンツの商品化を促すため、観光関係者向けの研修やモデルコースの造成、セールス等に取り組んでいきたいと考えています。 引き続き各国のニーズを踏まえた情報発信にも力を入れ、観光事業者等と一体となりインバウンドの復活に向けて取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 私も旅館をやっていますが、確実にインバウンドは増えてきたと感じますし、人が動き始めたという実感もあります。外国人旅行者には近年、アウトドアやアクティビティーのニーズが高まっているということなので、その辺の仕掛けもどんどんやっていただきたいと思っていますが、インバウンドを意識し過ぎるが余りに、大分県の本来の良さを失わないように気を付けなきゃいけないと思っています。 先日、農林の県外調査で、栗の産地である長野県小布施町へ行ってきました。小布施町は、農業と観光、文化、そしてまちづくりが切っても切り離せない関係だということで、観光やまちづくりも踏まえた話をいただきましたが、一本筋が通っていたと感じたのは、あくまで観光ありきではなくて、町民との対話を重ねて、歴史、文化とか町民のことを一番に考えていろんな取組を行っていった。その結果、町民の協力が非常に得やすくなって、同じベクトルでまちづくりを行っていけた。そしてまた、それが観光につながっていったと、そのような内容でした。 本県の指針であるツーリズム戦略を見ていくと、行政、ツーリズムおおいた、地域観光協会、観光事業者、商業事業者、農林水産事業者、NPO、そして県民一人一人が、共通認識の下、同じ方向に向かって全力でツーリズムの推進と観光産業の振興に取り組んでいくと目的に示されていますが、各自治体でも戦略に基づいてそれぞれの特色を生かして施策を行っていると思いますが、この戦略の共有をどのようにされているのか、再度伺います。 ○古手川正治副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 議員御指摘のとおり、観光と地域づくりを一体に進めることはとても重要なことだと考えており、本県としても、これまでもずっとそうした取組で進めてきました。 ツーリズム戦略においては、本県の観光振興の指針であり、市町村や観光協会を始め、宿泊やお土産、地域づくり団体など、幅広い民間関係者の皆さんと議論を重ねて策定しました。戦略を幅広く知っていただくために、各種会議での説明に加え、概要版のパンフレットを今回初めて作成して、例えば、観光を志す大学生などにも周知を図ったところです。また、市町村や観光協会が参画しているツーリズムおおいたでは、この戦略に沿って中期経営計画を策定しており、県と共に観光振興を推進しています。 戦略の実行や目標の達成に向けては、市町村や観光関係団体はもとより、地域づくり団体や様々な関係団体との連携はもとより、県民の皆様との連携や共通認識が不可欠であると考えています。 今後もあらゆる機会を捉え、引き続き多くの方々に周知を図っていきたいと考えています。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 自然、歴史、文化等の良さをいかして、指針に基づいて同じ温度で県内で取組をしていただいて、自然な姿に近い大分の魅力を外国人の旅行者に知ってもらうことが大切だと思っているし、その指針となるものがツーリズム戦略であると思っているので、この戦略をより深い共有にしていただけるよう、また引き続きよろしくお願いします。 続けて、インバウンドの視点も盛り込みながら、国内に向けた誘客対策で、DCについて伺います。 本年の第2回定例会でも質問しましたが、令和6年春には、JR各社が取り組む国内最大規模の観光イベント、福岡・大分デスティネーションキャンペーンが開催されます。7月には、福岡・大分DC実行委員会と大分、福岡の両県にそれぞれのDC実行委員会が設立され、DCに向けての推進体制が整ったところです。現在、この実行委員会や下部組織に設けられたおもてなし推進などの三つの専門部会を通じてDCに向けた準備等が進められていると思います。 DCまで残り1年と僅かになりました。DCの前年、来年春には全国から旅行会社や交通事業者、出版社等の関係者を招いた全国宣伝販売促進会議も開催されます。 前回、広瀬知事の答弁にもありましたが、DCは全国最大級の旅行キャンペーンであり、準備には相当な期間を要することからその取組を加速する必要があると私も考えます。 また、DCの成功に向けては、前回のDCと同様に、観光客に好評だった様々なおもてなしに力を入れていく必要があります。県民によるおもてなしとして、おもてなしサポーターの募集や県内各地域で行う花いっぱい運動といった取組、市町村や各事業者などと進める観光案内看板やトイレなどのハード面の整備も必要だと考えます。 少し前になりますが、地元紙のコラム欄に「クルマを走らせていると『一村一品大分県』看板が目に入った。旧町名そのままもいただけない。観光とはブランドをいかに磨き上げていくかに尽きる。古い看板一つで観光地の印象を損ねてしまう」という内容の記事が掲載されていました。この観光案内看板はその内容からして前回のDCの際も整備されなかったと思われますが、限られた時間の中で、県として市町村や各事業者などと連携しながらインフラ環境の整備などを含めた準備を進めていくことが大切です。 こうしたことを踏まえ、DCに向けたおもてなしの取組をどのように進めていくのか、観光局長の考えをお聞かせください。 また、市町村や各事業者が行う取組に対して、県からの支援も必要ではないかと思いますが、どのようにお考えか伺います。 ○古手川正治副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 おもてなしは、デスティネーションキャンペーン成功の要となるものと考えています。住んでいる方も訪れる方も、誰もが地域への愛着を抱き、再び訪れたいと感じてもらえるようなおもてなしの取組が大切です。 現在、おもてなし推進部会において、観光関係者を対象とした旅行者の満足度をさらに向上させるホスピタリティー研修や、県民総参加によるおもてなしの実現に向けた企画など、具体的な取組内容などを議論しています。 また、安心・安全で快適な旅を支える環境の整備も大変重要なポイントです。まずは、旅行者の印象に大きな影響を与えるトイレや、絶景ポイントや沿道における支障木、観光案内標識の表示内容などについて、市町村等と連携して点検を進めており、今後、必要な整備を進めていきたいと考えています。 加えて、おんせんおおいたWi-Fiの高速化などのため機器更新を行う事業者などを支援したいと考えています。 デスティネーションキャンペーン本番においては、花壇の設置や装飾など、歓迎ムードの演出も欠かせません。県内の機運醸成にもしっかり取り組み、県民一丸となって旅行者の記憶に残る旅となるような、おもてなしの実現に取り組んでいきたいと考えています。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 さきほど指針の話をしましたが、例えば、別府市が公衆トイレにトイレットペーパーを必ず常備する取組も行っているし、ほかにも県下で統一した、例えば、ピクトグラムを案内板に盛り込むとか、各自治体で特色のあるものを一つだけ推し出していこうとか、そういう細かい戦略の共有、そしてまた支援も必要だと思いますし、それが県民挙げてのおもてなしの機運の向上につながると思っています。 本日上程された追加補正案にも、トイレや看板整備等が盛り込まれていますが、同じやるならそういう細かい戦略の共有もお願いしたい。今答弁の中にも市町村と連携してということがありましたが、再度、観光局長に伺います。 ○古手川正治副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 デスティネーションキャンペーンを見据えて、観光客等が快適に利用できる公衆トイレの美化を目指して、今年、早速10月に庁内におもてなしトイレ推進本部会議を設置しました。本部会議において、例えば、トイレ内の明るさであったり、トイレットペーパーを常備しているかどうかであったり、清掃体制の確保などの点検項目を設けて、市町村と共に徹底することにしています。また、県管理の観光案内標識についても、観光庁が定めたガイドラインに沿った表記であったり、ピクトグラムが適用されているかどうかなどを確認した上で改修を行っていきたいと考えています。 デスティネーションキャンペーンの受入体制を万全とするためにも、市町村が管理する標識なども同様に、適切に改修が進められるように要請して環境を整えていきたいと考えています。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ぜひとも県下で統一した取組をお願いします。 観光県である本県としてやらなければいけないことはまだまだ山積していると思いますが、コロナ等々で観光は大打撃を受けているので、一度原点に立ち返って、一本筋を通した中で、県民の皆さんが望んだ地域づくりを行って、おもてなしの機運、そして、本県の魅力が高まっていくような施策を引き続きお願いします。 それでは最後に、ツール・ド・九州2023について伺います。 令和5年秋に福岡、熊本、大分の3県で開催が予定されている国際サイクルロードレース、ツール・ド・九州2023について、本年9月末に国際自転車競技連合(UCI)から大会日程とクラスが発表されました。これによると、ツール・ド・九州2023は令和5年10月6日から9日までの4日間の日程で、UCIアジアツアーのクラス1として開催されることが正式に決定しました。 このUCI国際レースの認定は、九州・山口の各県と経済界で構成する九州地域戦略会議の皆さんの意気込みの結果だと思います。クラス1のレースとなると、最高クラスのワールドツアーに出場しているチームも海外から参加することになるため、国内外からの注目度も一段と高まることが期待されます。 また、オートポリスと日田市街地をつなぐコースで実施する大分ステージは、レースの最終日に開催されることから、有終の美を飾るべく大会を大いに盛り上げるとともに、この国際スポーツイベントの開催を通じて、地域の元気づくりへとつなげていくことが大変重要だと考えています。 そのためには、情報発信を戦略的に進めることや、会場を盛り上げ、しっかりと集客していく必要があると思っています。 そこで、ツール・ド・九州2023について、本県でのこれまでの取組の進捗状況とともに、今後どのように取り組んでいかれるのか、企画振興部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 大会の運営や盛り上げに向けて、大分ステージ推進委員会を立ち上げ、コース会場となる日田市の経済界や観光事業者等と連携し、機運醸成や受入体制などの様々な取組を進めています。 地元における大会認知度の向上では、5月の川開き観光祭においてサイクリスト100人によるパレードを行ったほか、8月のママチャリレースや11月の天領祭りでのバーチャルサイクリング体験など、季節ごとのイベントにあわせてレースのPRに取り組んでいます。 全県下での機運醸成としては、県内25か所の道の駅とタイアップした大会をPRするオオイタチャリメシスタンプラリーや、食に関心の高い学生を対象にサイクリスト向け食事メニューの開発コンテストも現在実施しています。 今後、大会の準備が本格化する中、会場を盛り上げ、しっかり集客していくためには、受入体制の充実や、大会の魅力を分かりやすく幅広に発信していくことが重要と考えています。 受入体制の面では、レースのライブ映像を流すパブリックビューイングの設置、日田市内とオートポリスをつなぐシャトルバスの運行などを検討しています。 情報発信では、大分ステージのイベント情報に加え、コースやレースの見どころをSNS等で発信したり、国内外のインフルエンサーの活用も検討していくこととしています。 引き続き、大会の成功に向け、しっかりと準備を進めていきます。 ○古手川正治副議長 大友栄二君。 ◆大友栄二議員 ありがとうございます。現在、本県では自転車プロチームができたりとか、サイクルトレインの検討もされているということですし、また、以前、私、ONOMICHI U2という、自転車ごと泊まれるホテルの紹介をしましたが、サイクル・ハブとしての環境が本県も整ってきているところだと思っています。 このイベントを契機に、それらが加速して、自転車といえば大分県だというぐらいの、そういう整備が進んでいけば、サイクルツーリズムにもつながっていくし、夢があるなと感じています。ぜひこれを契機に幅広な検討を進めていただくことをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○古手川正治副議長 以上で大友栄二君の質問及び答弁は終わりました。原田孝司君。  〔原田議員登壇〕(拍手) ◆原田孝司議員 県民クラブの原田孝司です。 去る10月、広瀬勝貞知事は、今期をもって勇退されることを表明されました。5期20年にわたり、時代を先取りし、卓越した手腕を発揮され、私たち県民の先頭に立っての大分県の安心・活力・発展の実現に導いていただいたことに厚く感謝を申し上げる次第です。 この20年間の功績については、多くの議員の方が述べられているので、私からは言いませんが、残りの任期とともに、これからも大分県へぜひいろいろな立場で御助言いただきたいと思っています。 質問に入ります。 1番に教育行政について質問します。 大分県の教員不足はとても深刻な状況と言わざるを得ません。県教育委員会として様々な対策に取り組まれていることも知っているが、今年の教員採用試験の募集状況の話を聞いてもなかなか解決に至っていないのだと思います。私たちも批判ばかりでなく、どうしたらいいのかを共に考えていく立場で質問します。 本県では、教員の大量退職に伴う大量採用が行われているものの、受験者数が減少するとともに、受験倍率も低下し、採用予定数の確保自体が困難な危機的状況にあります。このままでは、教員の欠員が増加し、年度途中の病休、産・育休者の代替確保も困難となっていきます。 このため、受験者確保の取組や労働環境改善の取組、教職員研修を通じた人材育成などが行われているとは思いますが、さらなる取組が必要不可欠です。 また、本県では、教員の採用からおおむね10年3地域の広域異動が実施されています。これは、教育改革の一環として2012年度に導入されたもので、周辺部の教員確保などに効果がある一方、負担感から他県に人材が流出する要因になっているという指摘もあります。 本年、10月18日に開催された、広瀬知事と県教育委員による県総合教育会議では、教職員の人材確保や育成について意見交換が実施されましたが、広瀬知事は、制度を維持しながら、教員の負担感がなくなるよう改善してはどうかと発言されたと報道されています。 周辺部の教職員不足を解消するためには、私も広域異動は必要だと考えていますが、現在の制度は余りにも負担を強いていると考えています。 今回の見直しを始めるという方針を私は支持しますが、教員の人材確保及び育成による全県的な教育水準の向上は、地方創生を担う人材育成の観点からも教育委員会を中心に全庁を挙げて取り組むべき課題と考えます。 こうしたことを踏まえ、教員の人材確保及び育成についてどのように考えか知事に伺います。また、教員の広域異動について知事の思いをお聞かせください。 続いて、教育現場における再任用について質問します。 教員不足解消に向けた一つの方策として、やはり退職後の再任用の方々に助けていただくことが重要だと考えています。 しかしながら、再任用教員・職員は同じ仕事をしていながら約7割という賃金水準がネックになっているのではないかと考えています。 これまでの多くの経験がありながら、体力的なものを含めてモチベーションを維持していくのは大変なことだと思います。 そこで、教育現場の再任用者の現状について、2点お尋ねします。 まず、再任用制度における賃金などの処遇改善はできないか、お尋ねします。さらに、再任用制度にはフルタイム勤務と、短時間勤務がありますが、令和3年度末でフルタイム勤務を希望した方の割合は54%と伺っています。親の介護等の様々な理由で短時間勤務ならできるという方も、現状では再任用を断っているのではないかと思うので、対策をお聞かせください。 続いて、特別支援学級の学級編制についてお尋ねします。 特別支援学級の学級編制の標準は現在8人とされていますが、在籍する児童生徒の障がいの重度・重複化等の実態から、担任されている教員の負担はとても大変な状況になっており、学級編制の標準の引下げを望む声が多くの教職員、保護者から上がっています。 特別支援学級に在籍する児童生徒数は急速に増加しており、今後もその傾向が一定程度継続すると考えられます。 文部科学省内に設置された特別支援教育の在り方に関する特別委員会においても、特別支援教育に関わる教職員定数の改善を図っていくことが重要であることも踏まえつつ、学級編制の標準の在り方について今後検討する必要があると提言されています。 本県でも早急に実態調査を行い、特別支援学級の学級編制について、改善に向けて取組を進めるべきではないかと思いますが、教育長の見解を伺います。 以下、対面席で質問します。  〔原田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○古手川正治副議長 ただいまの原田孝司君の質問に対する答弁を求めます。 広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 原田孝司議員から教員の人材確保について御質問いただきました。 大量退職期を迎える中、教員の人材確保は教育県大分にとって喫緊の課題です。 教育委員会では、大量退職に備え、教員採用予定者数を増やすなど、前広な教員採用試験を行ってきたところですが、依然として多数の欠員が生じている状況です。 これまでも、1次試験の免除拡充など、採用試験に係る受験者の負担軽減や、他県教諭特別選考等を行っていますが、受験者確保に向けて教育委員会にはさらなる工夫をしてもらいたいと考えています。 また、今年度の教員採用試験においては出願倍率が低く、特に小学校教諭では顕著であることから、採用後の人材育成も大事です。 このため、拠点校指導教員の配置や、初任者研修など法定研修の実施はもとより、授業力向上アドバイザーによる教科指導など、常日ごろのOJTも充実させてもらいたいと考えています。 このような中、先日の総合教育会議では、県教育委員と今後の教員確保・人材育成に向けた議論を行ったところです。 教育委員からは、教育水準の維持向上や教職員の意識改革の観点から、広域異動の重要性について多くの意見が出されました。 また、県内各地の伝統文化や人とのつながりなどを学ぶことは、教員の資質向上を図る上で非常に大切であるとの意見もありました。 特に、周辺部の市町村教育委員会からは、教育水準の維持向上には広域異動が必須だという声を聞いています。 他方、10年の間に広域異動を繰り返すことは、教員への負担が大きいという意見があることも耳にしています。 私としては、広域異動の制度を維持しながら、教員の負担感を軽減するよう改善する必要があるのではないかと指摘したところです。少し欲張りですが、両方をやったらいいのではないかと思います。 小中学校の教員の人事異動については、地方教育行政法により、市町村教育委員会からの内申に基づき行うものと承知しています。 教育委員会には、教員の人材確保のため、教員の負担軽減の観点も踏まえつつ、市町村教育委員会の意見も聞きながら、魅力的な職場環境の構築に向け検討を進め、できるだけ早く結論を出してもらいたいと考えています。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 2点についてお答えします。 まず、教育現場における再任用についてです。 再任用職員の給与については、他の職員同様、地方公務員法により、生計費、国及び他の地方公共団体の職員並びに民間企業の従事者の給与、その他の事情を考慮して定めることとなっています。 法の趣旨を踏まえ、人事委員会勧告に基づき、給与改定等も行う必要があり、国や各県動向等も見ながら考えていきたいと思っています。 来年度施行される定年年齢の引上げにより、再任用短時間勤務は、定年前再任用短時間勤務又は暫定再任用短時間勤務となります。 今年9月、今年度末に59歳となる教職員を対象とした意向調査を行ったところ、小中学校で約3割の67人が非常勤講師を含む短時間勤務を希望しており、昨年度の44人を大きく上回る状況です。 現在、今年度末60歳及び59歳の教職員を対象に再度意向調査を実施しています。 今後、意向調査を踏まえ、市町村教育委員会と連携し、短時間勤務同士の組合せや非常勤講師との組合せなどの工夫を行いながら、再任用短時間勤務のさらなる活用を図りたいと考えています。 続いて、特別支援学級の学級編制についてです。 特別支援学級の学級編制基準は、義務標準法において、小中学校ともに8人と規定されており、本県の基準も同様です。 しかしながら、本県では、進学先の中学校に特別支援学級が設置されていない場合や、近隣に特別支援学級を設置する学校がない場合などは1人でも新設を認めるなど、これまでも現場の実態等も踏まえながら、柔軟に対応してきたところです。 その結果、本県における特別支援学級数は、本年5月現在で745学級と、前年度に比べ78学級増加しています。 さらに、特別支援学級における指導の充実を図るため、児童生徒の個別の指導計画等の作成では、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターが専門的見地からの援助・支援を行っています。 特別支援学級の学級編制基準の引下げについては、国の配分定数の充実が不可欠であり、国の動向も注視していきたいと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 ありがとうございました。採用からおおむね10年、3地域の広域異動については、私自身、とてもこれは問題があるなと思っていました。その中で、知事がこういったふうにやる見直しについて発言していただいたことは本当に深く感謝しています。 そこで、教育長に質問しますが、この広域異動の見直しについてどのように見直していくのか、また、スケジュール的なことも含めて御回答をお願いします。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 お答えします。 市町村教育委員会からは、教育水準の維持のために広域異動が必要という強い要望を受けていますが、今後、具体的な見直しの検討にあたっては、来年1月に予定されている市町村教育長会議を皮切りに、市町村教育委員会の意見もしっかり聞きながら、できるだけ早く検討を進めたいと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 異動方針の見直しも進める中で、公平、公正な異動という観点が重要だと私は考えています。以前は、周辺部の勤務に応じて、点数を設定して、異動の優先度合いというか、それを進めながら広域異動を進めてきましたが、これから具体的に公正、公平を担保するためにどのように考えているのかというのはぜひお答え願いたいと思います。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 人事異動においては、公平、公正、透明性の観点から、教職員評価システムと異動調書により実施しています。 その評価結果等に基づき、教職員一人一人の能力、適性、意欲などを踏まえた適材適所の配置が重要であると考えています。 今後とも人事異動方針に基づいて適材適所の人材配置を行いたいと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 分かりました。 では次に、再任用について提案します。 さきほど短時間勤務同士を組み合わせるという言い方を教育長はされていました。実は今、高校とか中学校では、この短時間勤務の先生方は、例えば、教科担任制の中で、その教科を教えるという形で入っている方は結構多いですね。ただ、小学校はなかなかそうはなっていなくて、なかなか短時間勤務がしにくい側面があるわけです。 ただ、今小学校の高学年で教科担任制が結構入っているので、そういった形で短時間勤務ができる形、受け入れがしやすいような形をつくってあげるというのが、これが短時間勤務の導入にされる方にとっては本当に役に立つのではないかなと思いました。ぜひ御検討願いたいと思います。 特別支援学級の学級編制ですが、今教育長の言われたとおり、国の配分定数が大きく引っかかるのはよく理解しています。ですが、今現場の実態は本当に厳しい状況である。ですから、ぜひ実態調査を行っていただきたいなと思っています。その中でまた教育委員会が国への要請も含めてぜひ取り組んでいただきたいなと思っています。 では続いて、新年度予算に向けた歳入の確保について質問します。 来年度の予算編成について伺いますが、当面は骨格予算、そして新しい知事の下、肉付け予算になると思いますが、歳入予算に着目して質問します。 今年度の予算は、いつもとは違う予算編成であったと私は思っています。当初、私はコロナ禍により県税収入は落ち込むのではないかと考えていましたが、県税収入は企業の業績回復などで法人2税と地方消費税が伸び、13.6%増となる過去最高の1,298億円と見込んでいます。 他県では、例えば、秋田県の前年度比14.8%増のように、本県と同様に多くの県で製造業などを中心とした企業業績の回復により県税収入増としています。 また、自治体の健全な財政運営の判断基準の一つである経常収支比率は、近年、95%前後で推移していましたが、8月に出た2021年度の決算報告では、7.4ポイント改善の87.1%と報告され、私は驚きました。 今回、経常収支比率がこのような数値になったのは、県税や地方交付税の増などによって収入が増えたためと考えますが、現下の円安などの動向により、所得税や法人税など国税収入をその原資としている地方交付税の今後の動向が気になります。 そうした中、これからの財政運営の見通しはとても厳しくなるのではないかと考えます。そのため、財政的に余裕のあるうちに、貯金に当たる財政調整用基金などの基金残高をできるだけ増やしておくことが大事だと考えます。 さきの9月補正予算の記者発表において、知事からは今年度末の財政調整用基金は330億円ぐらいになり、目標額の達成が見込まれていると発表されていました。 しかしながら、半導体の供給不足、原材料や原油価格の高騰、急激な円安など、社会経済状況の不安要素が多く存在する中では、安心はできないと考えています。 そのような経済情勢の中、来年度の予算編成に向け、県税収入や地方交付税をどのように確保し、財政調整用基金残高とのバランスをどう保っていく方針なのか、総務部長に伺います。 ○古手川正治副議長 若林総務部長。 ◎若林拓総務部長 新年度予算に向けた歳入の確保についてお答えします。 まず税収ですが、税収に大きく関わる県内の景気動向については、国の全国旅行支援などにより、個人消費や観光で持ち直しが見られています。 一方で、海外経済に起因する原材料高など景気への不安材料も払拭できない状況にあります。 こうした景気動向を踏まえながら、来年度の税収については、国が作成します地方財政計画を考慮の上、適切に見込んでいきたいと考えています。 現在の国税収入の伸びなどを見ると、今年度と同水準は確保できるのではないかと考えています。 地方交付税について見ると、国の総合経済対策で国税収の補正に伴い、今般増額されています。増額されたうち、1.4兆円程度は令和5年度、来年度の交付税財源として活用されることとなっています。 また、国の概算要求においても、地方の一般財源総額は確保される見通しが示されているというところです。 今年度追加で措置された交付税については、国の経済対策の趣旨にものっとり、県独自対策が展開できるよう、今回の補正予算案において適切に活用することとしています。 また、国の予算編成過程において、地方負担の動向をしっかり注視しながら、安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保と充実についても、引き続き国に対して強く要望していきます。 こうした歳入の確保に加えて、国庫支出金や各種の基金等を効果的に活用しながら、財政調整用基金残高にも注意を払い、今後、当初予算を編成したいと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 今年度並みの地方交付税は確保できそうだという言葉に安心しました。今、多分予算編成がされているのではないかなと思いますが、大変な毎日だと思いますが、ぜひ頑張っていただきたいなと思います。 続いて、医療や高齢者をめぐる諸課題について質問します。 今期の4年間で医療をめぐり様々な出来事や改革がありました。一番大きな出来事は新型コロナウイルス感染症対策だと思います。この冬にはインフルエンザとの同時感染拡大も起きるのではないかと危惧されていますから、油断はできません。この間の福祉保健部、また県病を始め、県職員の皆さん方に本当に感謝を申し上げる次第です。 最初に、オンライン診療について質問します。 私は今潰瘍があって大分市内の病院に通っているのですが、その病院でもオンライン診療が始まったと知り驚きました。というのも、オンライン診療は医療機関が少ない周辺部の地域で展開されると思っていたからです。 私も一度オンライン診療を受けてみようと思い、申し込み、先日診療を受けました。オンライン診療は1,500円の別途料金がかかったのですが、とても便利でした。 私の場合、診療は夕方の6時からでした。それまで普通の診療をして、夕方からオンライン診療するという形だったようです。こうしたやり方は、なかなか仕事を休めず薬を切らしてしまうような勤労者も、仕事に影響なく受診できる仕組みだと感じました。 そこでお尋ねします。本県でのオンライン診療推進への取組状況とその課題について、福祉保健部長に伺います。 続いて、後期高齢者医療制度について質問します。 本年10月から後期高齢者医療制度が見直され、75歳以上で、課税所得が28万円以上かつ年金収入とその他の合計所得金額が、単身世帯の場合は200万円以上、複数世帯の場合では合計320万円以上の方は、自己負担割合が1割から2割になりました。つまり、倍になったわけです。 負担を抑える配慮措置として、外来受診患者の窓口で支払う額の負担増加額が1か月当たり3千円までに抑えられています。その配慮措置も3年間の限定となっています。医療費の増大で現役世代の負担がさらに大きくなることが懸念されているための措置であり、基本的には国の段階で検討される問題です。それに地方が振り回されている気がしてなりません。 様々な医療制度改革が行われていますが、大分県後期高齢者医療広域連合が財政運営の主体となっている後期高齢者医療制度について、現在の財政運営の課題を県としてどのように認識されているのか、福祉保健部長に伺います。 続いて、認知症高齢者等の安全・安心対策についてお尋ねします。 認知症高齢者等が他人にけがを負わせたり、他人の持ち物を壊したりして、御本人や御家族等が法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険金の支払を受けることができる認知症高齢者等個人賠償責任保険があります。 認知症の家族を持つ人にとって、徘徊などで行方不明になる心配とともに、そのような事故を起こすのではないかという不安は常に付きまとっています。 この認知症高齢者等個人賠償責任保険の保険料は、1億円の補償を付けても年間数千円程度で済みます。 現在、大分市、別府市、豊後大野市、九重町など八つの自治体で保険料を負担する事業が始まっています。 本年10月から始まった別府市では、申請のあった方々に適用され、市が負担する保険料は全部で10万円もかかっていません。多額にならない負担で、多くの方々が救われる事業であることから、全県下でこのような制度が実施されるとよいと考えています。 こうしたことを踏まえ、認知症になってもできる限り住み慣れた地域で、自分らしく安心して暮らし続けることができる社会の実現に向け、さきの保険事業の推進を含め、県としてどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長に伺います。 ○古手川正治副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 3点についてお答えします。 1点目は、オンライン診療についてです。 県内でオンライン診療を行っている医療機関は、県が運営するポータルサイトであるおおいた医療情報ほっとネットにおいて、現在29施設が確認できます。 このうち、過半の18施設が大分市や別府市にあり、持病があるものの通院時間の確保が難しい現役世代の活用も見受けられます。 厚生労働省のガイドラインでは、かかりつけ医が対面診療と組み合わせて行うことを求めているほか、得られる患者情報が限定されることから、医師が適切に診断できるかが課題とされています。 また、昨年度県が行った実証実験でも、医師から画面越しの問診だけでは、初診から適正な診断を行うことは難しいとの意見もありました。 このため、県では、実際にオンライン診療に取り組んでいる医師からの診療時の注意点等を学ぶ医療従事者向けセミナーを開催し、適切な運用の普及に努めています。 このほか、診断の精度向上に向け、オンライン診療の活用が特に期待されるへき地において、聴診音遠隔伝達システムなどICT機器の有用性の実証実験も行っています。 こうした取組により、対面診療を補完するオンライン診療への理解促進に努めます。 2点目は、後期高齢者医療制度についてです。 本県の後期高齢者一人当たりの医療費は、令和3年度で105万3千円と、制度創設時から年々増加傾向にあり、全国平均よりも高い水準で推移しています。 団塊の世代が順次後期高齢者へ移行する中、今年度の保険料算定では、前年度比でプラス13.7%、年間では8千円増の約6万6千円となる大幅な増額改定を行ったところです。 一方、現役世代の負担も増加しており、昨年度の国保の被保険者一人当たりの支援金は約6万4千円と、保険料に匹敵する額となっています。 広域連合の財政運営については、今後も厳しい状況が続くと予想されることから、医療費急増等による財政リスクの軽減や医療費の適正化が喫緊の課題と認識しています。 このため、本年8月、剰余金を活用した広域連合独自の安定化基金を設置し、年度間の医療費の不均衡を調整できる仕組みを整えたところです。 また、医療費適正化に向けては、栄養指導などの保健事業と通いの場などの介護予防事業の一体的な実施を促しており、来年度は全市町村で展開される予定です。 今後とも、広域連合との連携を密にし、後期高齢者医療制度の安定運営に努めます。 3点目は、認知症高齢者等の安全・安心対策についてです。 認知症高齢者が安心して暮らせるためには、地域における見守り体制の構築が重要です。 そのため、行方不明になった場合に、警察や消防、地域包括支援センター、民間事業者等が連携して、速やかに捜索、保護するSOSネットワークを全市町村で整備しています。 また、地域住民等が参加する捜索模擬訓練が、昨年度は8市町で実施されたほか、別府市では、連絡先などが読み取れるQRコード付きのステッカーを靴に貼る取組など、各地域で工夫を凝らした対策が取られています。 議員から御指摘のあった民間の個人賠償責任保険については、国の認知症施策推進大綱を踏まえ、県の高齢者いきいきプランにおいて、住民に身近な市町村における導入を推進することとしています。 そのため、毎年度市町村担当者会議等を通じて、導入事例の共有を図っており、その効果についても分析していきたいと考えています。 今後とも、こうした取組も含め、県内14万人を超える認知症サポーターや関係機関と連携しながら、認知症の方とその家族が安心して生活できるよう支援の充実に努めます。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 今、福祉保健部長の答弁はオンライン診療について、全ての人ができる診療ではないと言われましたが、確かにそうですよね。私が行っている病院では、3回のうち1回は実際に来てくださいと言われていて、また、そこで処置が必要な方はオンライン診療できませんよと、いろんな条件があるのですよ。ただ、多くの方々は、例えば、定期的に行って薬を出してもらうなんていう方は、オンライン診療でも大丈夫かなと思っています。それぞれの使い方によって、便利な使い方ができる制度でとってもいいなと思っていますから、ぜひこのことは後押ししてあげてほしいなと思っています。 後期高齢者医療制度についてですが、ある方々から相談を受けて、いつもは歯医者に毎月行っているが、そのとき、会計でいつも1千円出してお釣りをもらうと。10月以降は2千円出さなきゃいけなくなった、倍になったのは実感すると言っているのですよね。なかなか年金の収入だけでやっている方々については負担感が大きいのだなと思います。これはもちろん国の制度によるものですが、ぜひそういった方の支援が何かできないかなと思っています。 認知症高齢者の件については、今、福祉保健部長が言われましたが、(現物を示す)これを御存じでしょうか。オレンジリングといって、認知症のサポーターの講習を受けた方々に配布されるものです。今、大分県で14万人と言われましたね。これは全国的には目標が1,200万人だったのが、ちょうど1年前に達成し、現在は1,300万人までこれを持っている方がいると。それだけ多くの方々が認知症患者に対してとても理解が進んだのだなと思っていますし、これは正に行政がやったお陰だなと思っています。 私が言った、いわゆる賠償責任制度について、一つの在り方ですが、そういったものを含めて制度的なものをぜひもっと推進していただきたいなという思いで発言しました。 続いて、SNS上の誹謗中傷対策について質問します。 「私は人間を信じています、誹謗中傷をなくしていけると信じています」、この言葉は、10月に大分市で行われた木村響子さんの講演会において、「誹謗中傷はなくならないと思います」という会場からの声に対して、木村さんが静かに言われた言葉です。 御存じの方も多いと思いますが、この講演をしていただいた木村響子さんの娘さんは、恋愛リアリティー番組出演中に起きた口論をめぐり、誹謗中傷を受け、自ら命を絶ったプロレスラーの木村花さんです。享年22歳の早過ぎる御逝去でした。 お母さんの木村響子さんによると、誹謗中傷した人の情報開示は時間やお金もかかり、運営会社が外国の場合では英語で申請しなければならないなど、ハードルが高いとのことでした。 木村響子さんは裁判を起こして勝たれていますが、いまだに賠償金は支払われていないそうですし、御自身も「お金のために娘をだしにして活動している」などの誹謗中傷を受けていると言われていました。 SNSをめぐる誹謗中傷は、現在でも大きな人権問題となっています。インターネットサービスプロバイダの大手である企業が実施した調査では、20代から60歳代のSNSを利用している男女770人のうち、17.5%の人が「SNSで他者から誹謗中傷されたことがある」と回答したそうです。 2001年に旧プロバイダ責任制限法が制定され、発信者情報開示請求権が認められましたが、SNSの普及に伴い、発信者情報開示の迅速化が指摘されるようになりました。 さらに、被害者救済と表現の自由等の確保に留意した改正プロバイダ責任制限法が、本年10月1日に施行されました。 また、悪質な侮辱行為に厳正に対処するため、本年6月には刑法の一部改正により侮辱罪の法定刑が厳罰化されています。 このようなSNS上での誹謗中傷事案に対し、2020年12月に、群馬県で「群馬県インターネット上の誹謗中傷等の被害者支援等に関する条例」が制定されたことをきっかけに、他の自治体でもSNS上での誹謗中傷に対する条例制定の動きが出ています。 本県においても人権尊重施策基本方針を策定し、ネット社会の人権問題に取り組んでいますが、実際に本県において、このようなSNS上の誹謗中傷の事案について、どのように把握し、どのような措置や対策を取られているのか、生活環境部長に伺います。また、こうしたことを踏まえ、SNS上の誹謗中傷をなくす取組について今後どのように進めていくのかあわせて伺います。 ○古手川正治副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋強生活環境部長 お答えします。 SNS上の誹謗中傷は、深刻な人権問題であると受け止めていますが、現実には被害を受けた方の把握が難しいことから、声を上げやすい環境づくり、これに努めています。 そのため、今年3月の改正人権条例、これを解決すべき課題として盛り込んだところです。 県では、SNSで誹謗中傷を受けた方の相談に対応するとともに、被害の実態や対処方法を学ぶ講演会の開催、あるいは企業研修等への人権講師の派遣、広報媒体等を活用した啓発等々に取り組んでいます。 また、県内の中高生自らがSNSやインターネット等の正しい使い方を考え議論する場となるICTカンファレンスといった会議開催を通じ、青少年のネットリテラシーの向上にも取り組んでいます。 今後は、人権相談ネットワーク協議会、あるいは青少年安心ネット環境づくり会議等を通じ、法務局や市町村などとの連携をより強化するとともに、誹謗中傷への対処や削除方法に関する情報を提供するなど、解決につながる施策について一層の充実を図りたいと考えています。 また一方、被害者の救済には、国による全国的な手当も必要だと考えています。引き続き、全国知事会等を通じ、人権救済制度の確立を国に要望したいと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 生活環境部長が言われたとおり、把握するのはなかなか難しいのだろうなと思っています。 その中で、学校現場でのいじめ事案の中にも、SNS上での誹謗中傷といったものがあるのではないかと思いますが、教育長に把握している実態と、その対応についてお聞かせ願いたいと思います。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 昨年度の県内学校現場におけるネットいじめの件数は363件となっており、いじめ全体の2.5%に当たります。 ネットいじめは、早期発見、あるいは早期対応、いずれも難しいので、情報モラル教育が重要だと考えています。 県教委では、生徒、保護者、それから教員向けに専門家によるネットトラブル講演会であったり、あるいはスクールロイヤーによるいじめ予防授業などの取組を行っています。 また、小、中、高校別に児童生徒向けの動画教材、それから指導案を作成し、学校現場で活用していただいたところです。 加えて、県立学校では、児童生徒、教員のタブレットにこれらの動画、それから相談窓口のアイコンを表示しており、引き続き情報モラル教育の取組を推進したいと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 これからも進めていただきたいと思います。 私、この問題を考える中で感じたのですが、誰もが被害者になるし、誰もが加害者にもなり得るのだなと思ったことです。 今、サッカーワールドカップが行われています。日本がドイツに勝って、全国から選手や監督にすごい称賛の声が上がった一方、次戦のコスタリカ戦で負けて、すごい数の誹謗中傷が選手や監督に届いたという話を聞きました。とても残念だったなと思いながら、これが本当のサッカーファンなのかなと思ったりもしたのですよね。自分自身が、一人一人が気を付けていかなきゃいけない問題だなと思っています。 ちなみに、今晩どことするのでしたかね。(「クロアチア」と呼ぶ者あり)クロアチア戦なので、日本が勝つようにみんなで優しく応援していきたいと思いますし、知事、勝ったらぜひどこかでブラボーと声を上げてほしいなと思います。 では最後に、地域公共交通について質問します。 地域公共交通をめぐる計画の策定についてです。私ごとなのですが、8月中旬から10月中旬にかけて自家用車がなく、バスと電車を利用して県議会に通っていました。私の家はバスの便もよかったこともあり、スムーズに通勤できましたが、公共交通機関のありがたさや必要性を強く感じた2か月間でした。 現在、多くの地域で人口減少の本格化に伴い、バスを始めとする公共交通サービスの需要の縮小や経営の悪化、運転手不足の深刻化などにより地域の公共交通の維持、確保が難しくなっています。 他方、高齢者の運転免許の返納が進むなど、受皿としての移動手段を確保することがますます重要な課題になっています。 本日午前中には、県民クラブの二ノ宮議員が地方創生について質問しましたが、公共交通機関の整備抜きに地方創生は成り立たないことは明らかです。 国は、公共交通の改善や移動手段の確保に取り組める仕組みを拡充するとともに、特に過疎地域などでは、地域の輸送資源を総動員して移動ニーズに対応する取組を促すため、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律を2020年5月に改正しました。 本県では、県内を6圏域に分け、持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指し、地域公共交通網形成計画及び地域公共交通再編実施計画を策定しています。この計画が現在、どのように進められているのか、また、これまでに明らかになった課題をどのように考えているのか、お尋ねします。 また、県が策定した計画を具体的に実施するためにも、基礎自治体での地域交通に関するマスタープランとなる計画、地域公共交通計画の策定が必要です。 現在計画が策定済みである市町村は、県内では7市1町です。5年以内に地域公共交通計画を策定すると、その計画に基づいた事業には国からの補助金が出ることになっていますから、まずこの計画の策定が急務だと考えますが、県内市町村の現状とこれからの取組についてあわせてお聞かせください。 続いて、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築について質問します。 各地域のバス路線は、基幹路線から血管の様に広がっていますが、周辺部では採算の取れない路線がほとんどとなっているのが現状です。それを補うためには、例えば、デマンドタクシーなどのデマンド交通、自治体が運営するコミュニティバス等の仕組みが必要となると思います。 私の地元の別府市でも、1960年に運行を開始し、山あいの傾斜地に連なる棚田を車窓から楽しめる内成棚田線が8月末で廃止されました。赤字路線の維持について、これまでのように1事業者に任せきりでは限界が生じます。 他県では、皆で広く支えようと交通税や上下分離方式などの議論も始まっているようです。 こうしたことを踏まえ、県として、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築についてどのように取り組もうとされているのか伺います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 まず、地域公共交通をめぐる計画の策定についてお答えします。 路線バス等の地域公共交通は、住民の日常生活に必要な移動手段であり、その維持は必要不可欠です。 県では、持続可能な公共交通網を形成するため、交通事業者等関係者と協議を重ね、マスタープランとなる県内6圏域ごとの地域公共交通計画の策定を昨年3月に終えたところです。 加えて、そのアクションプランとなる地域公共交通利便増進実施計画の策定も本年度末には終える見込みとなっています。 計画の策定を通じ、自治会、交通事業者、市町村等が一緒になって公共交通網の維持確保に取り組むことが重要な課題であると関係者間で認識を共有したところです。 そこで、マスター、アクション両プラン策定後も住民、事業者、行政等からなる協議会を定期的に開催し、公共交通ネットワークの在り方について協議を継続しています。 また、市町村計画が未策定の自治体では、順次策定に向けた作業を進めています。県としても、協議会の場の活用を含め、市町村の計画策定が円滑に進むよう支援します。 次に、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築についてお答えします。 地域の周辺部においては、交通事業者による自力運行が経営的に厳しく、赤字路線が多くあることは認識しています。 そのため、県では、交通事業者に対して運行による赤字への補助や車両購入の支援などを行うことで、路線の維持を図っています。 また、交通事業者による運行が困難となり、市町村がコミュニティバス等として維持を図る際にも、運行経費への補助や利用促進の取組に対する支援を行っています。 持続可能な地域公共交通ネットワークの構築のためには、住民、交通事業者、行政等による丁寧な議論を通じて、それぞれの地域の実情に即した計画を策定、共有することがとても大事です。県としても、地域ごとの計画に基づく路線や車両の最適化、ダイヤの適正化、車両保有と運行の上下分離などの施策検討、実施を支援し、地域公共交通ネットワークの利便性や効率性向上に努めます。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 住民の公共交通を守るためには、いろんな考え方があると思っています。さきほど言ったデマンド交通とかコミュニティバス、また、今度大分空港からするMaaSなんていうのもその一つかなと思っています。 その中で、さきほどお願いした上下分離方式、今度、ホーバークラフトでそういうことをやりますが、ここはとっても有効になるのではないかなという思いを持っています。 先日、総務企画委員会で東京に行ったのですが、そのとき、都内を水素燃料電池バスという、水素で動くバスですね、オリンピックを機会にたくさん入れたのが流れているのかなと思ったのですが、かなり走っていました。それから、帰ってきて調べると、普通のバスは大体2千万円から2,500万円ぐらいするそうです。それに比べて、水素燃料電池バスは大体1台1億円ぐらいするそうです。とてもではないが、民間が独自で購入するのはなかなか難しいものだと思います。 そこで、例えば、自治体等がカーボンニュートラルの施策として購入して、それを民間に貸す、そういった上下分離方式のやり方もあるのではないかなと思ったのですが、こういったやり方を大塚企画振興部長はどのように考えになるかを、個人的な意見でも結構なので、お聞かせ願えたらと思います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 基本的に上下分離は、県内では電気バス、水素バスではありませんが、例えば、コミュニティバスを市が運営する場合に、車両は市が購入し、県が支援ということで、既に行われています。 今、御質問にあった電気バス、あるいは水素バスは本当に多額の経費がかかる。そこに国の支援は既にカーボンニュートラルを目指し、補助制度はありますが、その補助を入れてもなかなか収支は大変厳しいと思います。そういうことで、都会では、確かに先行、モデル的にやられていますが、地方では、そこはいきなりというのはなかなか難しいのではないかと考えています。 ○古手川正治副議長 原田孝司君。 ◆原田孝司議員 よく分かりました。考え方として、これからそういった考え方が広まっていくのではないかなと思うので、ぜひまた御検討願いたいと思います。 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○古手川正治副議長 以上で原田孝司君の質問及び答弁が終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑は、この程度にとどめたいと思います。 これに異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○古手川正治副議長 異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑は終わります。  ------------------------------- ○古手川正治副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○古手川正治副議長 本日はこれをもって散会します。     午後3時40分 散会...